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十三階の女

十三階の女

十三階の女

作家
吉川英梨
出版社
双葉社
発売日
2017-08-17
ISBN
9784575240535
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十三階の女 / 感想・レビュー

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しんたろー

吉川英梨さん初読み。読友さんの「エロい」という感想に釣られて読んだが、なるほど……女性が書く公安&性描写というのも珍しいが、なかなかの迫力に圧倒された。警察小説ではとかく悪者になる公安だが、そこに生きる者の葛藤と女性としての苦悩を混ぜ合わせて、シンパシーを感じさせてしまう筆力は凄味さえ感じる。盛り込み過ぎなので少々劇画チックなのが玉に瑕だが、哀しいラブストーリーとして楽しめたし、アクションシーンもリアルに目に浮かぶ。終盤の女同士の攻防は、女性作家ならではの生々しさで怖かった程。続編も読んでみたい(^^♪

2019/03/27

🐾Yoko Omoto🐾

一般の公安刑事も認知しない裏の任務に就き、その活躍は決して表舞台に出ることの無い秘匿セクション「13階」。女であることを武器に暗躍するも、職務に忠実になればなるほど我知らず「個」を失っていく律子の凄まじいまでの気迫と熱量に圧倒される。また死ぬまで監視される対象者と、テロや有事を未然に防ぐ為に監視し続ける公安との攻防には心底痺れた。常に腹を探り、会話の端々に別の真実を探す努力を強いられる日常で、正気を保たねば成らぬ職務の苛烈さは如何ばかりか。CRISISのような格好良さと女性作家ならではの心理戦を堪能した。

2019/03/17

nobby

「ー班長。作戦に女を使うのは、もうこれっきりにしよう」この涙ぐんでの言葉が痛々しくも、公安とテロリストの攻防を夢中で読んだ。警察庁直轄の諜報組織は、その移転先フロアから今は『十三階』と呼ばれている。『個』はないとされる上に、稀だという女性捜査官が背負う『性』は武器はたまた弱点にとはまさに両刃の剣…ISISをめぐるシリア情勢から日本赤軍まで今昔交えながら描かれる怨恨は鮮やかそのもの。序盤から様々に繰り広げられた出来事や設定が、終盤で見事に繋がる展開には溜息つくばかり!何はともあれ女性ならではの悲哀が切ない…

2019/05/21

utinopoti27

黒江律子28歳。警視庁公安部の特殊部門・通称『十三階』に所属する巡査長。情報を得るためには女の武器を使うことも厭わない彼女でしたが、テロ組織『名もなき戦士団』の幹部に恋をしてしまいます。任務と私情の狭間で苦悶する律子。テロ組織の首謀者『白雪姫』との対決が迫る中、彼女は・・。柚月さんの骨太ハードボイルドもいいけれど、吉川さんは女の弱さや「えげつなさ」を存分に押し出してきます。とくに男性作家では絶対に描けないであろう終盤の取り調べのくだりは、本作の白眉。切なさが尾を引くラストの余韻が印象的な作品でした。

2018/09/09

雪風のねこ@(=´ω`=)

バミューダトライアングルにおける船舶失踪はメタンハイドレートの気泡が原因だと謂う。大量の気泡が船の浮力を失わせる訳だ。作中、溺れるという比喩があるが、正にそんな感じ。海を国家、船舶を人間。そして気泡を、欲や愛情、正義感、悦楽だと言い換えられる。無尽蔵に湧き上がるそれらに浮力を絡め取られ沈んで行く。重ねた肌の温もりすら残酷に引き剥がされ、冥の水底まで堕ちて行くのだ。このえぐい程残酷で、それでも純真な描写は、ジャンルは違えど江戸川乱歩作に非常に似ていると感じた。直接的に描かれていないが、(続く)

2018/02/14

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