落花狼藉
落花狼藉 / 感想・レビュー
鉄之助
「吉原」を造った庄司甚右衛門と妻の物語。幕府と甚右衛門の駆け引きが、壮大なドラマになっていた。「綱紀粛正」を盾に、幕府から「夜見世」(よるみせ=夜間営業)を禁じられたため売り上げが8割減の苦境に立たせられる。まるで、現在の日本を見るような感じ! その時、甚右衛門らは旨い料理で昼の宴会を充実させたり、上方から細工切りができる職人を呼んできたり…生き残りの智恵を絞る。花魁道中も吉原のテーマパーク化の一策だ。「風呂屋」と「湯屋」の違いが描かれたりと、当時の風俗もふんだんに入って、読み応え十二分だった。
2024/01/07
starbro
朝井 まかては、新作中心に読んでいる作家です。吉原の黎明期、傾城屋(色街の商いをこう言う表現をすることを初めて知りました)大店の女将の一代記、一気読みしました。吉原も幕府にかなり翻弄されていたんですね。中々好い小説でありんす。
2019/09/27
いつでも母さん
カバーの花魁(日本画家・黒川雅子作)が、花と咲き花と散る女を夢と読ませてくれるのかと思いきや、場所は𠮷原、女は遊女屋の女将・花仍の生涯だった。𠮷原創生期から浅草田圃に移転して繁栄までを、西田屋の天井裏から同じ息を吸っった感じで読んだ。𠮷原の虚と真・・それは女と男の、老いや富の、あの時代のその人々が背負う悲哀と、そこでしか生きられない夢のあとさきをまかてさんが紡ぐ。花仍の周りの人たちがキラリと又、渋く光るのが良かった。中でもトラ婆が印象深い。
2019/09/15
とろとろ
江戸時代初期の遊郭吉原の誕生と、その後の紆余曲折と変遷の歴史みたい。吉原の創業主の妻となった女性の半生を描いているが、その物語のなかで遊郭のしきたりとか武家社会との兼ね合いとか、著者得意とする庶民の暮らしとか随所にちりばめられて、読む手が止まらなかった。月刊の小説誌に連載されていたものを加筆・修正して単行本化したとある。この小説誌、荻原浩、恩田陸、垣谷美雨 、三浦しをん、湊かなえ、など、まだ単行本化されていない作家の小説がずらりと並んでいたので、これはこれは、先が楽しみになりましたよ(そっちかよ!)。
2019/11/08
うっちー
ダイバ、ハラスメントの現代ですが、吉原にも文化がありました。
2019/10/06
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