ムゲンのi(下)
ムゲンのi(下) / 感想・レビュー
bunmei
上巻から、より一層のファンタジー色が濃くなる一方で、連続殺人事件の真相にも迫るサスペンス要素も深まります。物語に描かれた夢幻の世界観に、自分もどっぷり浸かって、最後の頁を閉じました。上巻からのイレス患者の4人や少年X、それらと愛衣との関係性など、様々な伏線が綿密に練られており、知念氏の構成の巧みさが見事なストーリー展開。最後のラスボス登場場面は、RPGを楽しんでいるような感覚でした。「夢幻の愛衣」は「無限の愛」に包まれていることを知ることで、表題の著す意味にも大いに納得し、温かさを残す幕引きとなりました。
2019/10/31
ウッディ
上巻で感じた違和感は、4人目のイレス患者が誰かという謎が明らかになるとともに腑に落ちた感じでしたが、夢幻の世界と現実との境界があいまいになり、頭の中がこんがらがってしまった。母を奪った大量殺人犯である少年Xが、名前を変えて精神科の教授になり、患者を洗脳するという設定は、無理があるような・・。伏線を回収して上手く収めた感はあるものの、すっきりしない読後感でした。医療とミステリーとファンタジーを融合した意欲作ではありましたが、色んなものを盛り込み過ぎて、中途半端になってしまった印象でした。
2020/11/18
Yunemo
何故だか、分からずのままに。現実に起きてる事件とファンタジーの世界の融合なんでしょうけど。夢幻の愛衣から無限の愛に辿り着くまでの行程?3人のイレス患者の原体験こそが本質であり、救うべき愛衣自身の心情になかなか到達できずに、モヤモヤした感が最後まであって。でもこういうことかと、何となく感じていたままに。もう一つ、現実の世界で、23年にも亘って殺人という快楽性から抜け出せずに生きてきた人格の存在って、あり?この仮面をかぶったままに生きてる人間って、今、多数存在。垣間見られる事件の概要、犯人の特殊性、現実にも。
2020/02/24
Makoto Yamamoto
ムゲン・夢幻・無限、i、愛衣、愛への変化が面白い。 ストーリーも、夢が入れ子になっていたりして、幕間でようやく理解できたほど。 しかし、意味するこれほどの展開は想像していなかったので改めて、著者の他の本を読みたくなった。 本屋大賞にノミネートされたとのこと。 対象になるのは当然で、大賞をとれるかが興味の的。
2020/01/23
しんたろー
謎が深まり、展開もスピードアップしてドキドキ!上巻にもあったホラー要素もパワーアップして「どれだけ欲張るのか!?」と思いながら読んだ(笑)。第4の患者の正体には驚かされたし、豊かな発想も脱帽ものだった。広げまくった風呂敷も上手に畳んだ印象だが、主人公の決着のつけ方は無理やり納得させられた感があって、スッキリしないのが唯一の難点…あれだけ殺しまくった犯人なのに…とは言え、単なるハッピーエンドではないのは悪くない。心情描写よりファンタジーが強く印象に残るので、大きく感動はしなかったが「夢中」で楽しめた良作。
2020/03/16
感想・レビューをもっと見る