沖晴くんの涙を殺して
沖晴くんの涙を殺して / 感想・レビュー
のっち♬
喜び以外の感情を失った高校生沖晴とがんで余命一年の宣告を受けた音楽教師の心の交流が主軸。沖晴がこうなったのは死神との取引のためとのことだが、傷が治るとか相手の死期を感じるといった設定はあまり必要性を感じない。寧ろ感情を取り戻す過程で彼が見せる様々な反応が話の求心力と言えるだろう。自分に感情が戻ってきてないか至る所で確かめようとする彼の姿は痛々しい、戻った際にオーバーフローに苦しむ姿も然り。本人だって「あたりまえ」がないのはやはり辛い。「ネガティブな感情も、やっぱり大事なんだよね」—感情の尊さを伝える一冊。
2021/02/21
ムーミン
我が身に起こる様々なこと、出会い、体験……。全てのものが自分の未来にとって意味のあること。人は思っているよりも優しいし、強い。そんなことを考えました。
2021/01/25
いつでも母さん
『貴方に「話したい」と思うことをたくさんたくさん積み上げながら、生きていくよ。ちゃんと、生きていくよ。』で締められてる思いが私の涙腺を崩壊させた。額賀さんの新作は反則です。後半は特に涙で何度も読む手が止まる。人は生まれた瞬間から『死』に向かって生きていることを病や老いから知っている。そして理不尽に喪う命があることも災害や事件・事故から知ってはいる。喪失の感情は千差万別、共感はできてもそれはその人だけの悲しみだ。無理に乗り越えなくていい。顔で笑って心で泣く悼みもある。これは沖晴と多くの『沖晴』の再生の物語。
2020/10/06
菅原孝標女@ナイスありがとうございます
私が一番好きな作家さん。11冊目。(久しぶりに読みました。)まさか震災話とは思いもよらず。沖晴くんが愛しい。オキハルクン、という響きがどんどん好きになる。踊場京香という存在が沖晴くんに与えた影響。人は出会うべくして出会うんだな..と思わずにはいられない。途中もラストも泣き所満載で苦しかった。でもこれを読んだ以上は、生きていこう、と思える。本のタイトルはもちろん、各章のタイトルもめちゃくちゃセンスが良い。もっと読まれて欲しいな。
2021/04/04
sayuri
沁みた。息苦しい毎日を過ごしている今この本に出逢えた事に感謝。北の大津波で家族を喪い17歳になった沖晴は震災で「悲しみ」「怒り」「嫌悪」「恐れ」の感情を失ってしまう。フィクションとはいえ実際の災害がモチーフとなっている事で沖晴の心の奥底にある悲しみが胸に迫り「花は咲く」のメロディが脳内でリピートされていた。余命僅かな音楽教師・京香との出会い。その必然とも思える出逢いによって変化して行く沖晴を応援し続けた。物語終盤は涙が止まらない。自分の人生に関わった人達の顔を思い浮かべながらちゃんと生きていこうと思える。
2020/09/29
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