隅田川心中
隅田川心中 / 感想・レビュー
鉄之助
”ホームレス作家”赤松利市ワールド全開! 昭和感丸出しの世界観。歌謡曲『昭和枯れすすき』、さくらと一郎を思い起こさせた。こちらは大隅一郎64歳と咲村咲子32歳、が恋に身を焦がす。まったく、男は「いくつになっても単純な生き物」。身につまされるフレーズだ。そのわけは、自分のことを「客観視できない」からだという。当たってる! 勃起薬・レビトラ効果で、1日5回性交ができたからといって、「できれば毎日したい」と思い込む一郎さん。隅田川心中するはずの二人だが実は生きていた、と思ってしまうのは、私だけでしょうか?
2023/04/17
しんたろー
赤松さんが純愛小説を書いたというので興味津々で読んだ…なるほど、赤松流の純愛かも知れないが、初老男の妄想話とも言える独特な内容…64歳の大隅が娘ほど歳の離れた咲子に惚れ、咲子に寄生する父親と食い物にするワル爺に翻弄される大隅の姿が愚かで馬鹿馬鹿しい。だが、世代が近い身としては哀愁に似た共感さえ覚える。純愛を気取る大隅に突っ込みを入れる語り部が作者の「照れ」とも思え可笑しかった。エログロも健在でブラックな喜劇として面白くはあるが『鯖』『らんちう』の頃の「痺れるような猛毒」が薄まって感じるのは私だけだろうか?
2021/04/18
おしゃべりメガネ
いや、しんどかったです、とにかく読了しましたが。決して辛口ではない前置きですが、他の赤松さん作品とは全く別物と思って読んでいただけたらと。64歳の男と32歳の女性のある意味ピュアな恋愛物語ですが、とにかく出てくる人物がクズすぎます。性描写は赤松さんワールドですが、それ以外はどうしてしまったのか、ちょっとレベルがキツかったです。これまでの作品は他の作品では得難いインパクト、パンチがありましたが、本作にはそれほどのモノはなかったかなと。後半はとにかく字を追うコトに集中して、半ば無理矢理?読了した感じです。
2021/05/05
とん大西
歪な純愛…肯定的にとらえるなら、そんな表現もあるかもしれない。だけどもそれにしても、愚かで浅ましくて情けなくて世間知らずで…。うらぶれた街角で互いの傷をなめ合うように抱擁する男と女。そしてタイトルは隅田川心中。ついつい叙情的な破滅を想起しましたが、自ら堕ちていく男と生臭い扇情的描写が悪目立ちする展開に終始嫌悪感がつきまといました。媚びず容赦せず-といったところは赤松節のなせるワザでしょうが…今回は読み味が空回りかな( ´△`)
2021/04/04
モルク
64才独身の一郎は、32才の咲子から「愛人にしてほしい、あなたの子供を生みたい」と言われ有頂天に。その性に溺れ、結婚を決意する。が、彼女のために老後の貯えを湯水のごとく放出する。そして一郎の転落人生が…。なんと愚かな!ばかじゃないかと思ってしまう。咲子の描写、小学生のような見た目。貧乳で黒豆のごとき乳首、乳輪に関してはどす黒いだけではなく貧しい乳房を覆い尽くさんばかりの大きさ。陰毛はぼうぼうで剛毛、云わば使い古しのタワシ…ひどい…だがその印象が強すぎて後が霞む。赤松さんらしいといえばそうなのだが…
2021/08/14
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