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つまらない住宅地のすべての家

つまらない住宅地のすべての家

つまらない住宅地のすべての家

作家
津村記久子
出版社
双葉社
発売日
2021-03-17
ISBN
9784575243857
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つまらない住宅地のすべての家 / 感想・レビュー

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ミカママ

読み友氏の厚意にて手に入った初読み作家さんの出世作(という認識で合ってる?)。登場人物の多いのは苦手、と常々感じていたのが、「これは大丈夫、めっちゃ面白い」と別の読み友氏の後押しもあってスラスラ読めた。几帳面な読者なら、各住民とその行動や思想をいちいちメモしながら読むところ、わたしはすべて「だいたい」で読んだが、それでもこういう形態は好きだなぁと思う。どんな人間にも「裏」や「他人に言えない部分」があるっていうこと(ミカママにもある・笑)終わり方もわたしの好み。読み友さんたち、ありがとう。

2022/06/10

まちゃ

津村さん初読み。登場人物が多く、最初は誰が誰やら。次第に明らかになっていく登場人物たちの内面と家庭の事情。映像化しても面白そうな町内群像劇。とある町の路地に面した十軒の家々に暮らす悩みやあきらめ、絆の喪失を抱えた人々。生気のない淀んだ住宅地を変えたのは、刑務所から脱走した女性受刑者。近所出身の彼女が近づいているという出来事で生じた小さな波乱が淀んだ感情をかきまわす。そして変わっていく人々の関係。すべての問題が解決したわけではないが、それでもいい方向に向かっていると希望の持てるラストでした。

2021/04/17

こーた

題名にもある、つまらない、をこれほどおもしろく描けることに驚嘆する。何気ない日常の景色があまりに巧くて、事件の核心に近づくほど退屈に思えてしまう、という顚倒さえ起きる。何もない住宅地だ。住民はみな倦んでいて、いずれはここから出ていきたいと考えている。そこへ逃亡犯が近づいてくる。事件だ。でもそんなことより洗濯物を取り込まなければならない。仕事へ、学校へ、病院へ行かなければならない。朝ごはんを食べないと。いいかげん起きよう。どんな事件があろうとも、その場所にはいろいろなひとが住んでいて、日常がある。逃亡犯を⇒

2021/03/22

とろとろ

路地を挟んで10軒の家が立ち並ぶ住宅地。そこに受刑者が刑務所から脱走したとのニュースが入る。住民は何人かで交代で見張りをはじめる。見張りを変わるにつれ、それぞれの家の実情と事情が連載小咄のように延々と続いていく。最初の頁にある見取り図を見返しながら、どこの家か何度も往復して読んでいたので頁が前に進まなかった。それでも、途中から住人のそれぞれの悩みや苦労や思惑が判ってくると同時に、それが少しずつ明るい方向に向かって気持ちに変化が起こりはじめ最後は何となくよい感じて終わるっていうのが、垣谷美雨的で面白かった。

2021/06/25

R

全然つまらないことない住宅地だった。傍目からは、何もない昔からの住宅地で、そこに住んでいる人たちの絶妙な人間関係を主軸にして、ある事件と、その過去とのつながりが描かれる物語。登場人物があれこれ出てくるのに、不思議と区別がついて、入り組んだ関係がなるほどと腑に落ちるのがすごい。平穏な毎日に潜む、犯罪の芽ともいうべき不平不満がリアルだった。誰でもが法を犯すかもしれないし、犯したものを助けるのかもしれない。

2021/07/11

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