紅い花 つげ義春カラー作品集
紅い花 つげ義春カラー作品集 / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
寄贈されたのか、なぜか図書館新刊棚に紛れ込んでいた本書。記憶にあるのはモノクロームの世界なのだけれど、「ねじ式」ではなく『紅い花』をタイトルにした通り、登場人物の着物や花・植物、果ては背景にまで紅色を使うことで一層引き立つ不可解な魅力。後で書き込むつもりで××クラゲと仮称入れた原稿を、担当者がメメクラゲと読んでそのまま掲載されたのも、つげさんなら、と頷けてしまう不思議。「その証拠に ほら ポキン 金太郎」「なるほど ポキン 金太郎」何度読んでも「ねじ式」は夢魔が垣間見せた幻想世界。紅い色の妖しい力を→続
2016/02/10
井月 奎(いづき けい)
心をざわつかせる、自分のなかの不安が育つ、自らの存在の確信を疑う。つげ義春の作品を読むと、目を閉じて、自らの精神の落ち着きを取り戻す作業を必要とします。静かな世界での存在の源泉を揺さぶる「なにか」の跋扈は神話や昔話の得意分野ですが、この芸術家(本人は漫画は芸術ではないと言っていますが……)の手にかかると現代にもその「なにか」は強い力を持ち、存在することが明らかになるのです。夢を表現した、と言われる「ねじ式」ですがつぶさに見れば細工があちこちに巧妙にほどこされています。夢世界を現に見せたまれなる作家です。
2017/09/16
アズル
青林工藝社の「ねじ式」と比べると、赤が強いです。2色刷りの作品が「ねじ式」以外にもあったことが、初めてわかり、よかったです。充実した「つげ義春」コーナーが自宅に作れそうです(まだまだですが…)。
2014/01/17
龍國竣/リュウゴク
「漫画アクション」にて1969年に連載された既存の作品のカラー版を収録する。「紅い花」が実際紅くなっている。「ねじ式」は血の赤さと共に一番上手に色付けされている。酔っている人は勿論、「紅い花」が川を流れる場面の後、少女の身体が赤くなるのが印象的だ。いわゆる名作を集めていて、つげを初めて読むという人にもいいかもしれない。巻末のつげ義春インタビューでも、最後の三段落で端的に大事なことを言っていて、読み応えがある。
2013/08/14
ヒラP@ehon.gohon
「紅い花」、「ねじ式」を核に、何故か心に残る作品たちです。ふと手にして、学生時代の混沌とした自分を思い出しました。
2018/04/20
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