新装版 不機嫌亭漱石 『坊っちゃん』の時代 第五部
新装版 不機嫌亭漱石 『坊っちゃん』の時代 第五部 / 感想・レビュー
くさてる
「坊ちゃんの時代」はまさにこの巻を描くためにあったのではないか、という迫力と幻想の最高のマリアージュにただただ圧倒させられた。内田百閒を連想させるような薄暗い幻の世界のなかで己の人生の時をさまよう漱石の、すさまじい描写。これは谷口ジローの絵でなければ表現できなかったものだろう。素晴らしいです。
2022/02/22
マッピー
明治43年8月。病床にある漱石。 8月24日。 大量に喀血し、30分ばかり漱石は死んだ。 死んだという意識は本人にはないが、確かに呼吸が止まり瞳孔が開いて、漱石は30分ばかり死んでいた。 そして、漱石は文豪になった。 シリーズ五巻を続けて読んで、明治って面白いなあと思った。 江戸から繋がる明治。明治から繋がってる平成。 大きく変わったはずなのに、ぐるりと一回りして同じところに戻ってきたような気がするのは、気のせいなのだろうか。
2015/03/15
getsuki
明治群像劇、完結。修善寺の大患以降の漱石の話が中心。大逆事件の裁判の結審と死刑執行にも触れられている。スガの「ごきけんよう、さようなら」に胸が痛む。
2014/10/18
もだんたいむす
壮絶。★★★☆☆
2016/11/20
hirokazu
明治43年。3月、安重根の死刑執行。6月、「大逆事件」幸徳秋水、管野スガ検挙。同月、漱石「修善寺の大患」。8月、韓国併合。「この明治四十三年夏、日本はついに外に帝国主義の鉄の足を踏みかけ、内に同じ鉄の足で反体制者を踏みつぶしたのだ。これが、日本が一つの大いなる坂をのぼりつめたときであった。西暦にすれば一九一0年、以後、日本は坂を下ってゆくのである。」(山田風太郎「四分割秋水伝」より)
2017/08/05
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