貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記
貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記 / 感想・レビュー
harass
初著者。2015年発表。狙いの「JR上野駅公園口」がなかったのでこれを借りる。困窮生活の日記と雑誌の稿料未払い騒動をまとめたもの。破産手続きをししたほうがいいほどの借金があり、水道代さえも払えないことを愚痴る。ベストセラーがいくつかある作家だが、東由多加の未承認がん治療の渡米代や医療費や彼の墓につかったのだと。正式な夫婦でもないのにそこまでしなくてもと、世間的には思うのだが…… 個人的には、マラソンや登山に楽しむ著者に驚く。そのイメージはなかった。金がなくても、走ることと虫を飼うことはできると著者。
2020/12/04
nyaoko
節分の日に「貧乏の神様」を読んだ。「家族シネマ」「命」四部作、そして映画も見た。裸同然、ペン1本で戦って生きてる人だと思った。『創』原稿料未払いの話は当時は驚いた。報道で決着を知り、一昨年「ねこのおうち」でインタビューに答える彼女を見て「あぁ、なんだか憑き物が落ちたみたい」と思った。鬱病に苦しみながら、ガムシャラに書いて書いて書きまくる柳美里。貧乏だけどそれが何か?と言う、決して強がりではない彼女のパワーに惹かれる。
2018/02/03
どんぐり
2009年3月26日。遂に、金策に窮してしまった。芝居があるのに池袋に行く電車賃がない。息子が帰宅する日に食費がない。新聞の折り込み広告を見て、貴金属・ジュエリー買取りの店へ金策に走る柳美里。これは芥川賞作家による「わたしに小説を書かせてくれているのは、貧乏の神様です」という困窮生活記。貧乏には貧乏であることの困窮生活があるが、柳家の家計のバランスシートがないので、読者にはその実態はわからない。現在、作家で印税生活ができるのは村上春樹や東野圭吾、時に一発芸でベストセラー作品をものにする芸能人など限られた人
2016/01/29
nonpono
お金の話って難しい。儲かっていると自慢話をされるのも疲れるし、あまりにもお金に困っているという話を聞くのも消耗する。そのさじ加減がねぇ。本書は柳美里の水道が止まる寸前までのお金がない記録であり、そんな中で「原稿料未払い騒動」でもある。2015年刊行。最近、柳美里が短期留学した記事を読んだけど、この本に息子が自立したら、留学したいって書いてあり叶えたんだなと思い嬉しくなった。この本から9年後に。この金銭的には底にいるような状況で、貧乏神がついているから、わたしは小説を書ける、と言い切る強さが柳美里らしさか。
2024/09/23
あつこんぐ
図書館本。名前は知っていましたが触手がのびなかった作家さん。だが、しかし。この本を読んで俄然興味が湧きました。壮絶という言葉しか出てきません。この人についていける同居男性も凄いなと思いました。今はガムシャラに家族の為に働いているけど、息子さんが巣立った時どうなるのか心配です。命を削って作品を作る凄い作家さんです。
2018/05/25
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