43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層
43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層 / 感想・レビュー
修一朗
事件発生当時,事件現場の目と鼻の先に勤めていた。多摩川の河川敷の現場が窓越しに見え,毎日のように訪れていた場所だ。連中がつるんでいたたまり場もよく知った場所ばかりだ。隠岐西ノ島から川崎に移ってきた遼太の経緯や川崎で居場所を失っていった事情がなんとも衝撃的。どれか一つでも遼太の身に降りかからなければ彼は死ななかった。児相認定の虐待が離婚の原因でそのために遼太が島を離れることになったのだから母親側にも事情があったはずだ。父親が携帯を遼太に与えたからではなく。母親側からの情報が全くなかったのは残念。
2021/03/06
モルク
6年前の2月多摩川河川敷で43ヶ所をカッターで切りつけられさらに裸で川を泳がされて殺されたカミソンこと上村遼太君の事件を追ったノンフィクション。事件から1週間後未成年の3人が逮捕される。少年法に守られた3人の自己保身の言い分には虫酸が走る。両親の離婚で隠岐西ノ島から越してきた遼太。もし西ノ島にいたなら…。勿論遼太も窃盗や深夜徘徊等肯定できない行為もあるが、なぜ加害少年と親交をもち暴力を振るわれても一緒にいたのか本書でよくわかる。家庭環境により居場所を外に求めた遼太、西ノ島に残ったの父の慟哭が理解できる。
2021/05/18
どんぐり
多摩川の河川敷で惨殺された「川崎市中1男子生徒殺害事件」のルポ。少年はなぜ殺されてしまったのか。少年はなぜ加害少年の遊び仲間となり暴力をふるわれながらも一緒にいたのか。家族や学校、地域社会はなぜそれを止めることができなかったのか。被害者と家族、加害者と家族、それぞれを取材するなかで事件の闇に迫っていく。家に居場所を失い、夜の町を流浪する少年たちがつくり上げた「疑似家族」の言葉が、重くのしかかる。
2021/07/01
fwhd8325
石井光太さんだから読みたいとも、ダメージが強くて読みたくないとも思います。この事件が報道されたとき、かなりの衝撃だったけど、見えなかったのが、被害者の少年の背景です。石井さんの著書は、そうした疑問を明らかにしてくれました。そして、思った通りダメージは強いです。加害者たちの心理は全くわからない。現実の世界をバーチャルな世界と錯覚しているようにしか思えない行動、言動にはうんざり。そして、彼らは時間が経てば、社会復帰するのだ。
2018/04/14
読特
事件発生は2015年2月。まもなく5年を迎える。この本の発売も2017年12月。2年が経つ。 事件を知ろうとするには、少し遅すぎたかもしれない。それでも知ってよかった。 殺害現場である河川敷に供えられた大量の花束。いつの間にか設置された焼香台。大学ノートに書き残される慟哭。 「運が悪かった」実父の言葉は何故か説得力がある。 できることはあった。しかし、できないのが現実だった。 運命であったのかもしれない。 でも、現実は変えられる。もっと多くの人が問題を考えれば。
2019/12/02
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