谷口ジローコレクション8 かの蒼空に
谷口ジローコレクション8 かの蒼空に / 感想・レビュー
ぐうぐう
谷口ジローコレクションで再読する『かの蒼空に』。「帰国して思うのは なにやら世間の空気の沈滞だよ 青年はかつての覇気なく 人心に日露戦争までの一体感なし 日本はべつの時代を歩みはじめた どうもそんな気がしてならない」明治42年春、原敬が零す。零された相手・伊集院影韶警視正はのちに夏目漱石に「日露戦後の人心はとりとめもなく散乱する まさに失禁状態のごとくです」と述べる。明治末期のこの「失禁状態」がもたらせる閉塞感を関川夏央は、石川啄木の生き方を借りて表現しようと試みる。(つづく)
2022/01/30
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