電視される都市 (双葉文庫 お 7-1 電脳都市シリーズ)
電視される都市 (双葉文庫 お 7-1 電脳都市シリーズ) / 感想・レビュー
でんか
蔵書整理で再読中。短編連作集。近未来SFもの。「医療エンジニアの事故」が一番好きな作品。不治の病に侵された少女を治療する医療ロポットが、彼女が死の淵に望んだ際に検体を採取し、そこから病に感染してしまう…という話。ロボットなのでログがあり、それをみると、いかに彼が彼女へ愛を持った視線を注いでいたかわかるが、そんな感情はロボットではありえないはず。なのに、その視界の美しさ。失われる命への賛美があふれている。しかし、最後はそんなことはまるでなかったかのように廃棄処分される。無情。そんなお話が詰まっております。
2017/10/20
たこい☆きよし
双葉ノベルズ版にて。ラストの2編が同じ出来事を異なる視点で描いている他は、同じ世界の出来事なのかどうかわからない雑多な連作。書誌ではラストの「景色」が最初に書かれ、その後、<電脳都市>シリーズとして書き継がれたことがわかる。1987年から1988年にかけて雑誌掲載、同年の出版なので和製サイバーパンクを意識した一冊になっているのだろうが、「景色」に描かれるネットワークの姿は意外と現代のSNSにも通じるものがある。作中の用語で古びたかな、と思えるのは「電話」「電話回線」くらいで、今読んでも十分通じる想像力。
2021/10/27
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