Missing (双葉文庫 ほ 6-1)
Missing (双葉文庫 ほ 6-1) / 感想・レビュー
Tetchy
MISSING。それは喪失感。そして喪失感ほど残酷なものはない、という作者の主張が行間から見えるほどある特殊な思いが全編に共通して流れている。それは3編目の「蝉の証」の中で主人公が考える次のことだ。「欺き、騙され、そうまでして人は自分が生きた証をこの世界に留めずにはいられないものだろうか」まさしくそうだろう。喪失感という心に与える巨大な負のエネルギーが却って残された人々の心に存在感を浮かび上がらせる。あの時確かに君はいたのだ、と。仕事でも私生活でも何かを失くしたときに読むと心に染みる物語が詰まっている。
2011/09/14
遥かなる想い
2000年このミス国内第10位。 ひどく叙情的なミステリー短編集である。 登場する誰もが 心に哀しみを抱え、 生きている…その生き様は清冽で 心に染みる。 僕が語る 喪われたものへの想いは、痛切に 哀しい。歪んだ若さを、壊れた心を 凛々しく描いた短編集だった。
2018/09/09
扉のこちら側
初読。爽やかな表紙から、過ぎ去った青春を懐かしむような話と思い読み始める。実際はどの話もその背景に暗い死の影がついてまわり、なるほど、喪失の物語なのかと納得した。蝉の証の、騙されたふりをしたお祖母さんが強く印象に残った。
2012/09/02
射手座の天使あきちゃん
人間の心の奥底にある感情を覗くとこんな感じ? チョット痛くて悲しいです
hit4papa
デビュー作「眠りの海」を含め、死にまつわる作品5編が収録された短編集です。ミステリタッチですが、それほど謎めいてはおらず、胸があつくなるほどのせつなさを感じることはありません。死をテーマにしているものの、きれい事だけで終わらせていないのは、著者の作品ならではでしょうか。作品の中では、年上の従姉との交流を描いた「瑠璃」が好みです。男女の成長に伴う心の変遷が、ノスタルジックな感慨を呼び起こします。『MOMENT』から入った読者としては、物足りなさはぬぐえませんが、引き続き読み続けていきたい作家さんです。
2016/12/25
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