誘拐ラプソディー (双葉文庫 お 23-2)
誘拐ラプソディー (双葉文庫 お 23-2) / 感想・レビュー
しんたろー
「安定の面白さ」っていう感じで今回も楽しませて貰った。主人公のコソ泥・伊達が、へなちょこだけど優しい奴で愛すべき存在なのがイイ。更に相棒的な存在になって行く少年・伝助が、いかにもの6歳児で抱きしめたくなるほど可愛い。荻原さんはユニバーサル広告社シリーズの早苗もそうだが、 チョッと背伸びしているけど無垢で健気な子供を描くと本当に上手いと思わされた。展開もサラサラ流れ、ヤクザや中国マフィアが絡んだ誘拐の話とは思えない程、人情とユーモアに笑いながらもハラハラ感も味わえた。万人受けする老舗のラーメンを食べた気分。
2017/08/22
ちょこまーぶる
話の内容に引き込まれてしまい、自分が誘拐犯になってしまった錯覚に陥っていたかも。なんせ、偶然とはいえ誘拐した子供が組長の子供で途中から警部の子供も誘拐してしまうなんて面白すぎます。そして、犯人の伊達秀吉さんの罪に対する葛藤や理想と現実の実体験が交差する父親像が非常にわかりやすく描かれていて、ほっとしたりニャッとしたり・・・面白かった。確か、映画にもなっていたと思うので見てみることにするかな。
2013/05/04
mura_ユル活動
荻原浩さん、久しぶりで5冊目。彼の作品は、我慢しても発作に似た笑いが出てしまう。明るく生きるための様々を教えてくれる。ご出身の埼玉県大宮市が舞台。大宮市がさいたま市になるタイミングで刊行、巻頭にメッセージ。誘拐の逃走物語。主人公、伊達秀吉(この名前もププッてしてしまう)がヤクザの子供を誘拐してしまい、とても大きな事件に。誘拐された伝助が良い味を出す。テーマは子供との絆の大切さ。小鳩組も一瞬出てきた。途中出てくる東京都葛飾区。鎌倉(葛飾区の)、高砂橋、環七、金町浄水場。懐かしく曲がり角まで映像化できた。
2019/06/10
ひろ
借金に追われ、勤め先の工務店の親方を殴り倒し、金庫から金をつかみとって、車を持ち出して逃走する、主人公の伊達秀吉。もう死ぬしかないと自殺を試みるが、どうやれば苦しまずに死ねるかと試行錯誤するところからもうユーモア全開!そして、誘拐する羽目になった伝助6歳とのやりとりの面白さ、伝助の可愛らしさに、笑いのツボを押されすぎて頁を捲る手が止まらない。登場人物全てが素晴らしく個性的で、情景も丁寧に描かれているので、映画を観るように物語が展開していく。時間を忘れて朝まで一気読みし、最後に涙。読後感が最高にいいです。
2018/01/14
とん大西
ホンワカしたものが読みたくて積読の中から。王道のような人情コメディ、面白かったです。自殺の一歩手前まで追い詰められた伊達秀吉。人生の一発逆転の手段は幼児誘拐。これが単なる思いつきなだけに無計画で無防備。拐った子供がヤクザの組長の可愛い一人息子だっただけに…組あげての大捜索、敵対する中国マフィアの暗躍、異変を察知した警察の介入。絶体絶命にも関わらずユルリとフワリと(たまに懸命に)ピンチを交わす秀吉…と誘拐された伝助6歳。彼らに芽生える奇妙な友情。軽妙なやりとりに思わずクスリ…まさにドタバタの狂想曲でした。
2019/08/18
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