銀の皿に金の林檎を (双葉文庫 た 29-1)
銀の皿に金の林檎を (双葉文庫 た 29-1) / 感想・レビュー
つゆき
中途半端な愛しか知らない女の心情変化が読みどころ。16歳から31歳までの半生記。作品全体に漂う重い空気感。淡々とした文章がそれを中和する。素っ気ない表情の裏にある乾いた感情。自由に生きて行きたいという熱情。むずかしい女の人を描くのが巧いですね。他の作品も読んでみるべきなのか、迷いの生じる一冊だった。
2010/03/07
きりん
『しょっぱいドライブ』にいまひとつハマれず何かもう1冊ぐらい……と手に取ったのがこれ。母は東京へ出稼ぎに行き、飲食店を営む祖母宅近くの保護司の家で暮らす16歳が夜の銀座で働き始めてからの15年間が描かれた作品。普通でないことがたくさん巻き起こるけれど、主人公の目線も視線もいつもフラットで客観的。なので読んでいるこちらが受ける波瀾万丈感も薄い。でも今作のよいところはそこ。起きるできごとにいちいち動揺したり心がざわついたりしてたら波を超えていけないのが人生。そんなことを1冊を通じて言われているような気がした。
どん社長
この方の小説5冊目ですが、一番読みやすく深い感動を覚えます。芥川作品より感動しました!
2024/03/21
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