新装版 あなたに捧げる犯罪 (双葉文庫)
新装版 あなたに捧げる犯罪 (双葉文庫) / 感想・レビュー
🐾Yoko Omoto🐾
第42回日本推理作家協会賞短編賞受賞作「妻の女友達」収録、著者初期の短編集新装版。巻末のあとがきで「本物の悪意はなく、それどころか人間性において犯罪者気質とは無縁であっても、真の皮肉というのは案外そうしたところから生まれるのかもしれない」とあるように、自分の人生にとって邪魔だという単純な理由から芽生えた殺意や、偶然や過失を必然や故意だと思い込む猜疑心が予想を裏切る皮肉な結末にたどり着くというブラックなストーリーが多い。そんな人の愚かさを見事に表した「転落」「妻の女友達」「セ・フィニ 終幕」が特に良かった。
2014/07/05
キムチ
新版とあるが25年前の時期の作品集。嵌まっていた時期の空気を思いだし、懐かしい。人物像や会話、空気感全て小池ワールド。読み返すと、良くできた小粋な舞台劇のよう。展開する場面や世界は狭いし、価値観、発想等もステレオタイプ。でも一寸した車中の友に安定しているわ。色々なタイプのオンナが描かれるけど現実に温度がない分、人形みたいで、リアルの女が動く実社会は怖い♪
2015/07/21
絹恵
自身に科した重みで息が出来なくなって酸素が回らないその脳では、掌に乗せた首のあなたの重みと私の重みを量り違えてしまいます。私は誰を見ていた?あなたを見ていた、あなたしか見ていなかったから、首を花に埋める愛も全てはあなたのためと言って私を充たす愛でした。間違いを重ねた罪よりも自身さえ疑わない正しさに恐怖します。
2014/10/23
ざるこ
2時間ドラマにうってつけの6篇。どれも必ず誰かが死ぬ。実行犯は完璧な殺人が思いがけず表面化したり皮肉にも救われたりする。殺される側と殺す側、双方を取り巻く人物たちの思惑。古い作品で展開が読める部分もあるけど、結末はなかなかひねりが効いてて楽しい。小説家志望の女性の死「転落」の、あぁ勘違い…、そして誰もいなくなった…と言いたくなる結末「男喰いの女」など思わず嘆息しちゃう。お気に入りは「妻の女友達」夫に従順、平和に暮らす妻にも心の奥底に燻る思いがある。男性は呆然となる結末。女はちょっと爽快感が味わえるかも。
2020/04/26
鍵ちゃん
突然現れた妻の旧友は、厚顔で鼻持ちならない女だった。従順な妻を家政婦のように扱い、平穏だった家庭生活を掻き乱していく。。そんな彼女に夫は不快感を募らせていく「妻の女友達亅。日常に潜む心の闇と、音もなく忍び寄るを描いた6篇からなる短編集。女の表に出さない恐ろしさが一つ一つの話が終るたびに余韻となって漂ってきました。そこから言える事から、男からして女はこうであってほしいと思っている事が違っている。固定観念は相手を傷つけ、自分に不幸をもたらせる賜ですね。「男喰いの女亅は少し話が無理ではないかと感じたな。
2022/07/29
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