リバース (双葉文庫)
リバース (双葉文庫) / 感想・レビュー
yoshida
「ナンバー」シリーズの第三弾。シリーズの中で最も良い。前作で三知は解体。係員達が所轄で動く内に掴む震災絡みの詐欺や贈賄。彼等は背後に巨大な利権に絡む贈賄の姿に気付く。原発事故で故郷を喪い、安住の地を無くした数万人の想い、風評に苦しむ人々、被害に遭った人々へ寄せられる善意。それら全てを踏み躙る贈賄。災害が巨大であればあるほど、利権が生まれる。そして利権に群がる人々が現れる。この世は綺麗事だけではないし利権があれば犯罪も生まれる。そんななか僅かでも、人の信念、良心、矜持を信じたい。人の想いを信じたくなる作品。
2018/05/30
サム・ミイラ
三知シリーズ初の長編にして最高傑作。各章ごとに主役が入れ替わりそれぞれ違う事件を追う一風変わった構成が見事に機能している。そして運命に呼び寄せられるが如く一つの場所へと導かれる。そこは福島県。多くの者が知らない震災の後未だ復旧の進まぬ現状と避難民の過酷な日常。口先だけの復興を謳う政府に筆者の怒りが爆発する。読み進むたび涙が止まらない。殺人まで絡んだ贈収賄事件の解決を心から願いまさに命を懸けた捜査に魂は震える。ラストの号令に号泣。これはファンならずとも絶対に読んでほしい作品だと思う。
2017/04/20
まこみん
前巻ラストで所轄に飛ばされた西澤と清野。定年退職した大岩、キャリアの小堀、彼らを纏めていた真藤が其々主役となって成果を挙げていく。共通するのは福島の大震災と復興事業。この本が書かれた3年後の現地での無惨な現状を、彼らの目を通して描いている。震災復興と被災者を食い物にした犯罪。章を追うにつれ、犯罪の規模が大きくなり、ラストの「着手」では米仏原発関連企業との関わりに迄辿り着く。犠牲になった電力会社柿本の思い。元三知のメンバーが病床の真藤の元に結集する。この章が本当に素晴らしい!どんどん盛り上がる読書でした。
2019/05/12
アッシュ姉
『ナンバー』『トラップ』につづく第三弾。回を追うごとに面白さが増す稀有なシリーズ。読友さんのアドバイスを受けて、今月に入って一気に読破したので感慨も一入。震災で甚大な被害を被った福島を狙った卑劣な犯罪を暴く。西澤、清野、大岩、小堀へと襷が受け継がれ、最後は真藤の号令のもと一丸となって巨悪へ立ち向かう。チームの結束力の固さ、熱い思い、ラストは鳥肌が立ち視界が滲んだ。オススメしてくださった読友さんに感謝。相場ファンのみならず警察小説好きなら押さえておくべきシリーズ。是非第一弾から順番に楽しんでいただきたい。
2017/10/30
papako
シリーズ3冊目。これはお気に入りさんの助言で3冊まとめて読んでよかった。二巻で解散させられた三知のメンバーが、それぞれの置かれた場所で結果を出した!福島の復興にかこつけた詐欺事件。西澤くん、清野、小堀や大岩までも大活躍。清野の過去やメジ郎と小堀の再会、そして一恵の涙、泣かせてくれました。ラスト、真藤の一言で盛り上がった!もちろん結果は想像通りで大丈夫ですよね。続き期待していいんでしょうか。それともやはりメンバー揃った今回がラスト?渋くて旨みのあるシリーズ、堪能しました。
2017/12/31
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