ジャッジメント (双葉文庫)
ジャッジメント (双葉文庫) / 感想・レビュー
三代目 びあだいまおう
もし自分が同じ境遇になったとしたら、迷うことなく復讐を選ぶだろう。凄惨な事件が相次ぎ、ついに成立した『復讐法』従来の法で裁く以外に、犠牲者が蒙った苦しみを加害者に与える復讐が認められた。復讐を実行できるのは遺族のみ。昨今の痛ましい事件を思う度に思い描いていた究極の遺族救済の法!短編で紡がれる事件の背景。当事者のみが認識する闇と背景。重い。切ない。叫ぶ!考えさせられるのではなく突き付けられる真実!涙が溢れる!慈しもう、思い遣ろう!罪は決して許されないが、今の私はきっと『復讐』を選べない。凄い作品です‼️🙇
2020/02/13
さてさて
『復讐法』が施行され、『応報監察官』として数々の執行現場を見守ってきた主人公・鳥谷文乃が苦悩する姿を一つの”お仕事小説”として描いたこの作品。そこには五つの短編それぞれの背景の元に、罪を犯した人と、被害者遺族となり、犯罪者に『復讐』を果たそうとする人たちの生々しい姿が描かれていました。『復讐法』の是非に読者の価値観や考え方が執拗に問われる瞬間の連続に、読者の心が激しく揺さぶられ続けるこの作品。いったい何が正義であり、何が悪なのか、読めば読むほどにその解を求めて気が狂いそうにもなる壮絶極まりない絶品でした。
2023/04/02
ナルピーチ
凶悪犯罪の増加に伴い、被害者遺族の為に新たにできたその法律は【復讐法】加害者が犯した手段と同等の内容で、遺族自身の手によって刑を執行する事ができる。全5章からなる物語は各話ごとにその判断の是非を問われ、迎える末路に居心地の良さはなく、苦悩と葛藤しか残らない。当事者にならない限り、この法律の善悪は理解できないと思う。実際にこの法律が存在し、同じ立場に立たされた時、果たしてどんな“ジャッジ”を下すのか?まったく想像ができない…。重い…とにかく重く伸し掛る。一話を読み終える度にこの本の重みが増していく…。
2022/06/18
五右衛門
読了。今も尚議論が両極端に分かれる犯罪に対する刑罰、死刑を極端ではあるが復讐させることで被害者遺族の心が晴れるかという難しい題材でした。各短編ではありましたが担当官は一人で、被害者遺族のそれぞれの境遇を読んで本当はどうすればいいのか今も尚わかりません。しかし、加害者は許せません。でも、被害者遺族が加害者を同じ目に合わしながら刑を執行する様は自分は出来そうにないけれど良くやった!と思っている自分がいました。これからも酷い事件が起こるたびにこの復讐法を思い出してしまいそうです。
2019/08/22
散文の詞
とても、重い題材だと思うし、チャレンジした作家に拍手したいくらいですが、どうして、応報監察官という人物の視点で書いたのか。 刑を実行する人の視点で書いた方、人間味というか苦悩と言うか、感情を表現できるような気がします。 どうしても、第三者の視点では、感情の全てが書ききれない気がします。 ただ、題材が題材なだけに、わざと、登場人物を架空の人物のように表現したかったのかもしれませんが。 とはいえ、それぞれに、人生ドラマがあって、うるうるすることは間違いなしです。
2020/02/24
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