罪人が祈るとき (双葉文庫)
罪人が祈るとき (双葉文庫) / 感想・レビュー
さてさて
『どうせ死ぬなら、十一月六日にあいつを殺してから死にたい』。この作品では二人の主人公がそれぞれに当事者となった『いじめ』という行為の先に『復讐』を強く思う姿が描かれていました。極めてリアルな物語設定に鬱屈とした読書を強いられるこの作品。『どんな理由があっても人を殺めてはならない』と誰もが評論家の様に語る言葉の正否に自信がなくなっていくのを感じるこの作品。表紙の意味を思うその結末にこの世に起こる事件の数々の一つひとつにどれだけ深い物語が存在するのだろうと考えてもしまう奥深い世界を垣間見せてくれた作品でした。
2023/04/04
itica
重く苦しく哀しい話だった。死を選んでしまうほどの壮絶ないじめに遭った少年。少年の父親は運命に導かれるように最悪のシナリオへと身を投じる。「罪を憎んで人を憎まず」それは渦中に無い人の空疎な言葉だ。もし自分の子どもがいじめで苦しんでいたら。最悪、自殺したら。それでも相手を憎まずにいられるだろうか。他人を死に追いやっても何の痛みも覚えず、のうのうと生きている奴は現実にもいると思う。何だか遣り切れないよね。ラストは、色とりどりの風船に込められた思いがせつなくて嬉しくて…泣いた。
2021/09/04
annzuhime
いじめによる自殺で息子を失った父親。いじめにに耐えられるず殺人を計画する少年。そして手を貸すピエロ。法で裁かれることもなく社会で生きる罪人。正義とは何か。法とは何か。小林さんの投げかける問いにいつか答えは出るのだろうか。辛く悲しく悩んでばかりの読書でした。彼らに光が差し続けますように。
2021/07/04
mr.lupin
小林由香さんの著書二冊目読了。一冊目の「ジャッジメント」を読了した時もそうだったが、今回もめっちゃ重圧感のある作品だった。このいじめ問題と言うのはホントに奥深く、読んでいてもいたたまれない気持ちになってくる。一体誰が悪くて、何が正義なのか、いじめた人間に復讐をするのは悪なのか?いつもこの手の作品を手にすると、もし自分の家族や知人が、加害者若しくは被害者だったらと考えるとゾッとしてしまう。⭐⭐⭐★★
2024/03/06
ピロ麻呂
もし、自分の子供が壮絶ないじめを苦に自殺したら…そりゃ親からしたら、いじめた子を殺してやりたいと思いますよね。法治国家なのだから法で裁くべき。そうだけど、いじめの事実を認めさせるのも困難だし、加害者が特定できても、未成年であれば重い処罰を受けずに、すぐ社会復帰できてしまう。それならば自分の手で復讐してやりたい…気持ちはすごくわかるんやよね😵
2020/10/24
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