見えない情事 (双葉文庫)
見えない情事 (双葉文庫) / 感想・レビュー
じいじ
小池真理子の初期、初めてのサスペンス短篇集。7篇どれも文体はまだカタイが、小説の仕上がりは、今の小池さんの片鱗が窺えて面白かった。ー女房との離婚ばなしは、男の都合どおりスンナリとは行かないようです【春日狂乱】。主人公の「死生観」には共感しました【寂しがる男】。私のイチ押しは最終章の【表題作】—今夏を思わせる猛暑の中での仰々しい葬式シーンから始まる…。二組の夫婦による騙しあいが見どころ。どうも男と女の闘いは、女の方が役者が一枚も二枚も上のようです。「悪女」を描いたら小池さんは秀逸です。
2023/09/27
りー☆ 低浮上気味
小池真理子さん初の短編集、30年以上前に発刊された書籍の新装版。表題作含め7つの短編が収められています。続きが気になるもの、何とも後味の悪いもの、背筋がゾクリとするものなど実に多彩。ご本人もあとがきで「幻想・怪奇・サスペンス集」と書かれているように、どれも趣向が異なりそれぞれが面白く贅沢な一冊でした。 所々にレコード(LP)や公衆電話などが登場し時代を感じさせますが、小池さんの妖艶で幻想的な世界を充分に堪能。当時そのままのあとがきもよかったです。
2022/04/16
mincharos
小池さんがデビュー後4年半の間に書いた短編を復刊したもの。30年くらい前のものなので、やはりチラホラ古い。携帯はなく、いえ電のみだし、ロフトつきの部屋が当時の一番人気だったとか、あと女性に堂々とセクハラする感じも!それでもどれも面白く読んだ。お気に入りは「真夏の夜の夢つむぎ」。七千万の宝くじに当たった爺さんから、それを盗もうとした怠け者夫婦のお話。「黒の天使」の復讐方法もあっぱれだったわ~Rhマイナスの血液型って、私も昔の友達でいたけど、特別な感じするよね。私は悪いことした人が成敗される話が好きなのかも~
2021/08/26
アコ
7篇収録のホラーサスペンス短編集。1992年刊の中公文庫の新装版。先月読んだ『やさしい夜の殺意』と同シリーズで、表紙絵も同じく青依青さん。異なるのは幻想や怪奇現象などホラー要素があるところ。そうしたものより日常系ミステリ派なので男女の愛憎が絡む「春日狂乱」「黒の天使」が好み。「真夏の夜の夢つむぎ」もよかった。表題作は少しまどろっこしさもあったけど、最後まで目が離せなかった。
2021/09/01
coco夏ko10角
7つの作品収録の短編集。初期の短編集の復刊でどれもとてもよかった。『寂しがる男』いるらしい謎の男。こういうのドキドキするな。『車影』祖母が乗ったはずのタクシー。雰囲気・展開・そして…とても素晴らしい。『見えない情事』ある夫婦と仲良くなってから少しずつ変わっていった夫。最後までどうなるかと。 ディオリッシモ/春日狂乱/寂しがる男/黒の天使/車影/真夏の夜の夢つむぎ/見えない情事
2023/07/09
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