彼方の悪魔 (双葉文庫)
彼方の悪魔 (双葉文庫) / 感想・レビュー
けいこ
ストーカーの男とペストを患った男子大学生。登場人物たちの話が交互に綴られ、一体この2人がどこでどう繋がるんだろうと興味深く読み進める。ストーカーの自己中心的な罪に恐怖感を覚えたが、2人の接点が解き明かされた後に更なる恐怖と悲劇が襲ってくる。最後はどうなってしまうんだろうとドキドキしながら一気読み。初版が1991年でまだ携帯電話が無く、故にこの作品が成り立っているので古いのだが、このご時世に感染症の患者の描写は怖かった。ラストはあっけない幕切れではあったけれど、ハラハラ、ドキドキ、とても楽しめた1冊。
2021/08/22
なっち
まだ読んでいなかった小池さんの初期の作品があったとは!!30年以上前の作品の新装版ですが、ペストを扱っていて今の時代にマッチしています。そしてストーカーの存在。この時代にストーカーという言葉があったのかな。ペストとセントポーリアをググりました。
2021/07/12
ぐうぐう
1987年に刊行された小池真理子の『彼方の悪魔』は、大胆にもペストを扱った小説だ。日本においてペストは、1927年の感染例を最後に報告はないのだから、小説に登場させるにはそれなりの覚悟がいるはず。とはいえ世界に目を向ければ、ペストは現在でも散発的にだが感染が発生している。そういう意味で『彼方の悪魔』とは、うまいタイトルを付けたもんだ。そう、厄災は忘れた頃にやってくる。そんな彼方の悪魔を日本で発生させるにあたって小池は、医学書や専門家への取材を徹底し、よりリアルに描くことに成功している。(つづく)
2022/05/16
アーモンド
1991年刊行本に加筆修正し昨年発行されたとの事だが、全く違和感なく古さも感じない。ペストに感染したリスの遺体をそうとは知らずに持ち帰り自宅の庭に埋葬した大学生。埋葬されたリスを掘り返してしまう飼い猫。病的な男に誘拐される女性キャスター。人は生きていくかぎり、どんな災いに遭遇するか全くわからない。そんな怖さと気味が悪い感じを持ちつつ読了。
2022/07/06
ROOM 237
ペスト菌感染とストーカー気質の男、厄介な二つの異なるカテゴリが最後どう収束するのかが読みどころのサスペンス。最初から犯人の動向も明かして進むスタイルだしハズレ無しの大御所先生ですからね、昭和62年バブルの空気を思い出しながらでーんと構えてただ読みゃあいい(←お前は何様ですか?)。防カメもねぇ、ケータイもねぇ、SNSも当然ねぇから刑事が写真探すのも一苦労の時代。ストーリーも面白いんだけど、この昭和の雰囲気をあーだこーだ思い出しながら読めて良かった。
2023/01/06
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