日本推理作家協会賞受賞作全集 56 (双葉文庫 い 30-1)
日本推理作家協会賞受賞作全集 56 (双葉文庫 い 30-1) / 感想・レビュー
夜間飛行
日本の探偵小説は、明治20年代に初期の黄金時代があって、翻訳もの創作もの入り乱れて盛況だったらしい。やがて大衆の嗜好は実話ものへと移っていきブームは下火となる。黄金期に活躍した黒岩涙香、内田魯庵、島村抱月らの作品は入手が難しいし、いま読んで面白いかどうかわからないから、粗筋とさわりを読める本書は有難い。
2024/02/08
cogeleau
結局、この一冊が明治時代の小説群への没入の道標べとなった。堅苦しい文豪たちを長い間、敬して遠ざけてきたが、唯一、黒岩涙香の探偵小説だけは何とか親しめそうに思えていた。著者の伊藤氏もそこから入り込んで、明治の探偵小説群という地底の大宝庫を発見したのだと思う。実は、当時何万点もの書籍が盛んに発行されていた。多くの作家たちはその生没年さえ記録されずに、書目と名前だけが残されていた。本書は特に探偵小説というジャンルに的をしぼって多くの忘れられた作家と作品を発掘し、詳細な解説を施している。☆☆☆☆☆
2021/10/26
感想・レビューをもっと見る