日本推理作家協会賞受賞作全集 75 (75) (双葉文庫 な 12-18)
日本推理作家協会賞受賞作全集 75 (75) (双葉文庫 な 12-18) / 感想・レビュー
がたやぴん
上巻から続く第2部のケニア編が秀逸なだけに第3部の出来がすこし残念に思える。最後に彼が出てきて対峙するところはともかく、あの洗脳方法があれ程の威力があるはずはないし、大多数にはかからなかったオチは悪い方に衝撃的だった。それでも全体的には好みの作品。ある面は現実的である面は幻想的でうまく融合させたなぁと感心する。面白いか面白くないかで言えば、圧倒的に前者だ。それなのに知名度が何故か低い不思議な作品。
2016/12/24
夜長月🌙@新潮部
アフリカではなぜ今でも呪術師が崇められ、実際に呪いが効くのかその一因がわかりました。呪術に巻き込まれた日本人家族という設定はとてもスリリングです。呪われることで実際に不幸なことが起こるのは、科学的に認められているプラセボ効果と同じようなものです。また呪いにも良い面もあって紛争の解決のため呪いを外すと事は落ち着きます。らもさんは呪術についてよく研究されていて呪いに翻弄される日本人の壮絶な戦いという異色なサスペンスを楽しめました。
2020/10/29
あび
中島らも氏は本当に作家だ。ただ酒飲みのアル中オヤジとしか認識していなかったが、とんでもなく真面目で研究熱心な方である。こんなにも面白い物語に出会えて、本当に幸せだ。
2016/06/15
unknown
カルト教団に殴り込む第一部、因縁の地アフリカへと飛ぶ第二部、そして呪術師バキリと日本で対決する第三部、趣向は違うがどのパートも面白い。それまでのコメディ的なユルさから一転して、緊迫感と恐怖が加速度的に高まりを見せる二部後半から三部中盤にかけてが凄すぎる。登場人物達がバキリの呪術の謎に迫らんと知恵を絞るも、あっさりと、そして凄惨に次々と殺されていくくだりはホラーでありミステリ、そしてエンタテインメント。まさかの展開を見せる最後の対決も含めて堪能した。アフリカ民俗学、呪術、密教などの参考文献の多さも圧巻。
2012/04/08
なつみかん
2010〜2011の年を跨いで上下巻読破!これには、作家・中島らもの本気を感じます。きちんとした調査からくる事実を絶妙の割合で加え、虚実を仕切る塀の上で見事にバランスをとりながら語りきるこの大嘘話、久々に読んだけれど実に満足の1冊でした。
2011/01/09
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