螢草 (双葉文庫)
螢草 (双葉文庫) / 感想・レビュー
やま
螢草 2015.11発行。字の大きさは…中。勘定方・安坂長七郎は、轟平九郎の罠にはまり切腹させられた。その娘・菜々は、ご城下の勘定方・風早市之進のもとへ女中として奉公に出る。市之進の妻・佐知は、菜々を妹のように慈しみ育てる。そんな佐知が病にて亡くなる(涙)。佐知は、幼子2人を菜々に託し、夫に、わたし亡きあとは、菜々を妻にと言い残して亡くなる。市之進も、平九郎の罠にはまる。菜々は、市之進を助けるため父が残した平九郎の不正を行った証となる文書をもって御前試合で平九郎と対決する…。最後は、涙なくては話せぬ…。
2019/12/16
bookkeeper
★★★★★ 初読。菜々は風早家で幸せな女中奉公をしていたが、藩の汚職を追及していた主人は、罠にかけられ投獄されてしまう。敵の名は轟平九郎…菜々の父の敵でもある因縁の相手だった。風早家の二人の子を守り、仇を打つ。菜々の奮闘が始まるー。 NHKでドラマ化された時代小説。ひたむきな菜々は多くの支援者を得る。それでも狡猾で剣の達人轟には歯が立たない。このいかんともし難いギャップを如何にして逆転するかが読ませる。正しく生きることの美しさが心を癒やしてくれます。 「ひとは絆にすがって生きていけるのだと思います」
2021/09/24
のり
武家の出を秘して「風早」家に奉公に出た「菜々」。胸中には父の敵討ちを願いながら…それにしても奥方の「佐知」様は良妻賢母だ。菜々に対しても優しく接し、見守りながらも道標となる。そんな風早家に次々と舞い込む凶事。その一因は敵討ち相手と一致。子息女を護りながら知恵を絞り対抗するが…それでも救いの手を差しのべてくれる人達も。呼び名の変更に涙。頑張ったよ。菜々。
2020/03/31
モルク
武家の出を隠し女中として風早家で働く菜々。当主や奥方に可愛がられ子供たちもなついている。そんな穏やかな毎日に起こった風早家の不幸。そして罠。そこには菜々の父の仇轟が絡んでいた。気持ちのいい勧善懲悪もの。菜々を助けるまわりの人たちもユニークだし菜々がつけたあだ名も巧妙。菜々と子供たちの暮らす借家に乗り込んできた轟を次々と現れる菜々の助っ人たちが追い払うシーンは見事!エンターテイメントであり、癒されもする。いとこの宗太郎の優しさと菜々に対する想いが胸にささる。
2021/03/31
優希
読みやすかったです。ストーリーはとてもシンプル。苦境に負けずに懸命に生きる姿が描かれていました。女中としての奉公先での困難とまわりの人たちのあたたかさ。菜々が風早家に襲いかかる危機に、亡き父のため、風早家のために立ち向かう様子は凛としたものを感じました。ラストは予想できてしまいますが、勧善懲悪であると同時に心があたたまります。葉室さんというと静かな時代小説を描く印象だっただけに、かなりのエンタメ性に驚きました。
2016/07/11
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