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残り者 (双葉文庫)

残り者 (双葉文庫)

残り者 (双葉文庫)

作家
朝井まかて
出版社
双葉社
発売日
2019-06-12
ISBN
9784575669466
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残り者 (双葉文庫) / 感想・レビュー

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ケンイチミズバ

努力を惜しまず耐えてきた。あの日常がこれからも続くと信じたい気持ちが私にもとてもわかる。が、突然職を失い猫を探す。先に出立した天章院が寵愛した猫を。官軍が来るまでに江戸城を去らねばならぬのに城中を逃げ回る猫。なついていた猫を探すおたこ、成り行きでそれを見届けるりつ、徳川は朝敵となり大奥は解体なのに猫を保護し篤姫からお褒めをもらいなおも昇進したいちか、みな明日が来ると思いたいのだ。教室に居残り。やらかす生徒だったのでよくあった。居残り同士で通じ合うものがあってむしろ楽しかった。時々担任からご褒美もあったし。

2019/07/16

yoshida

江戸城の明け渡し。ひとつの時代の節目。大奥の人々も一橋家等に退去した。そんな折に、退去せず残った大奥の女達がいた。呉服之間、御膳所、御三之間、御中臈。それぞれの理由で江戸城から離れ難く、女達は引き渡しを密かに見届けて退去する意思を決める。それぞれに個性のある女達。とりわけ御中臈のふきが格好が良い。それぞれが過ごした大奥は彼女達の家であり、守るべき居場所であった。高官同士で引き渡しを終えた後に、長州の兵達が土足で大奥に踏み込む。更に略奪をする兵達の様子は、女達と同じく腹が立つ。明治での後日談も清々しく読了。

2021/12/11

のり

江戸城明け渡しに伴い、旦那様こと「天璋院」から退去命令が…官軍を怖れ大奥も慌ただしさが増す。そんな中、城内に留まった残り者が5人。位や役職が違えどそれぞれに思惑が…大奥という独特な世界で生きてきた女達。天璋院を頂きに未来永劫を信じていた。大奥こそが女達の家そのもの。自分の中で折り合いをつける為の決意。不安を振り払い生きる為に…

2019/09/10

rico

江戸城開城。こんな描き方があったなんて。それぞれの理由で城内にとどまった大奥の5人の女たち。最後の1日、そしてその日。5人が、ぶつかりつつともに危機を乗り越え、絆を深めていくのはお約束通りではあるけど、一人一人が自らの「仕事」に持つ矜持は、大奥が単なるハーレムではなく、この時代希少な女性が本当の意味で「活躍」できる「職場」であることに思い至らせる。直接登場しないが、トップたる天璋院や和宮の存在感も圧倒的。よしながふみさんの「大奥」にも共通する、新しい時代の光と希望を感じさせる後日談もいい。女たちに喝采を!

2023/07/05

アルピニア

幕末の江戸城明け渡しを大奥で働く女性の視点で描いた物語。明け渡しを明日に控え皆去った中、なぜか留まっている5人の女性。それぞれ胸に秘めた事情が・・。皮肉やユーモアを交えて大奥の内情やしくみを解説しつつ、幕末の複雑な事情も絡ませながら、大奥を職場組織として描くという視点が新鮮だった。自分の手で生きてきたという誇りを持つ女性たちの姿がとても力強く、だからこそ不安や無念さが伝わってきた。ふき殿の気風の良さに惚れた。もみじが本音を言って帰るのを渋るところではホロリ。最終章ではその後も描かれて読後感は爽やかだった。

2019/07/28

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