足利兄弟 (双葉文庫)
足利兄弟 (双葉文庫) / 感想・レビュー
真理そら
鎌倉幕府から室町幕府へ。この時の足利尊氏直義兄弟の骨肉の争いと南北朝の争いをすっきりと理解できる作品。尊氏の妻・登子は北条方の娘なのに北条を滅ぼした尊氏は変わりなく登子とその息子・義詮を大切にしている。このあたりの詳しい話は『風の群像(杉本苑子)』で読んだはずなのに忘却のかなたに去ってしまっている、おうちに居なくてはならない時期なので読み返そうかな。
2020/04/19
だまし売りNo
足利尊氏と直義を描いた歴史小説である。尊氏と直義の兄弟が主人公と思いきや、尊氏の正室の赤橋登子も重要な視点人物である。終盤では侍女さきが存在感を持った。尊氏は矛盾した人物であるが、無邪気に他人をだますことに腹立たしさを覚えた。尊氏は戦前の皇国史観では逆賊としてマイナス評価されていた。戦前的価値観からは自由になった方が良いが、尊氏は鎌倉幕府を裏切り、後醍醐天皇を裏切るという裏切りを重ねた人物である。悪くみられることも理由はある。
2023/09/29
けやき
足利尊氏と直義の兄弟の人生を描く。視点は尊氏の妻登子と直義と高師直の3人にて。淡々と物語が進んでいく中、各々の視点から尊氏の不思議な性格を浮き彫りにしていく。
2022/07/20
りー
サイコパスな天才兄=尊氏と、秀才・智略派弟=直義そして、北条氏から尊氏に嫁いだ登子。主に直義と登子の視点で尊氏が語られます。欺くための芝居を本気でできる人、昨日笑いあった人に平気で死を命じる人。なのに尊氏を、皆、憎めない天然キャラだと思っている。自分の一族を皆殺しにされた登子も、兄のサイコパスに気付いていた直義も、いざ尊氏の笑顔を向けられると簡単に信じてしまう。めちゃくちゃ怖ぁ~い尊氏でした。
2020/07/04
豆電球
極楽征夷大将軍を読了後、久しぶりに読みたくなり再読。大作後に読んだためかアッサリ感がすごかった。初読時も思ったけれど、大局を掴むにはちょうど良さそうな本かな。今作の尊氏もまぁまぁな不思議系。尊氏のこのよく分からない謎の言動はどうとでも取れる分、小説の題材にはもってこいな気がするんだけど、触れてはいけないような謎のオーラがあるのもまた事実。記憶が曖昧で言い切れないのだけれど、尊氏の心情を語った本にはまだ出会えていない気がする。ほんっと、直義が好きな事以外何考えてるか分からない。そこが彼の魅力なんだけどね。
2023/08/04
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