『坊っちゃん』の時代 (第5部) (双葉文庫)
『坊っちゃん』の時代 (第5部) (双葉文庫) / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
再読。この最終巻は『不機嫌亭漱石』。夏目漱石が危篤状態に陥った際に見た不思議な幻…という事で、これまでの巻に出て来た人物達が登場。出て来なかった正岡子規も登場。4部『明治流星雨』の幸徳秋水達のその後にも触れる。不思議な内容である。よかったのは2巻『秋の舞姫』でのエリスさんからの恩を返した長谷川伸。石川啄木にも死の予感が。森茉莉がまさかの再登場。広沢虎造も登場。こういった、山田風太郎明治小説にインスパイアされた意外な登場人物が楽しいシリーズだった。
2015/05/23
けやき
【再読】漫画。修禅寺で死にかける夏目漱石と明治の終焉について。
2023/04/20
saga
最終巻は漱石で締め=「坊ちゃん」の時代だからね。岩波文庫『漱石日記』を読んだ記憶がよみがえる。しかし、こうして漫画という媒体で修善寺大患を見ると一層迫力が増す。大逆事件の被告は処刑されて死んでゆく。漱石も啄木も死にゆき、明治は終焉を迎えた。養老氏の解説は難しかったが、日本人の軽さと書かれていることに、維新から明治(富国強兵)、そして昭和の大戦と敗戦後の復興は、良くも悪くも日本人の「軽さ」に負うところが大きかったのではないかと感じた。
2014/06/21
yumiha
知らんかった、静養に出かけた修善寺温泉で漱石が30分ほど仮死状態(死んでいた?)を経験したことを。仮死状態の漱石は、夢の中で走馬灯のようにこれまで出会ってきた人々(死者も含めて)と再会し会話する。「時の河」という章のネーミングがいい。漱石の案内役の啄木も含めて、明治末期の近代文学を俯瞰するようだ。
2016/11/04
bakumugi
ようやく全巻読了。長期間描かれているだけあって、作画がだいぶ変化してるな。此岸と彼岸を彷徨うせいか、これまでと異なるイメージの最終巻だ。漱石の死や事件事象の終焉など明解な形で物語は終わらないのだが、常に何かの終わりを見送りながら続いている今という時代を象徴している気がしてならない。日本は、日本人は、どこへゆくのだろう。日本人の本音はどこにあるのだろう。各巻のエッセイ含め読み応えのある漫画だった。
2018/09/29
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