時に海を見よ (双葉文庫)
時に海を見よ (双葉文庫) / 感想・レビュー
読書ニスタ
3.11後の「海」の意味は、大きく変わったと思う。恐ろしく感じるようになったり、目を背けたり、恵みだけの存在では無くなった。何年経っても、パニックになった呼吸を整える必要性を感じる。呼吸を整えて恐怖に向き合う。他人の不幸をなんでも背負い込む必要もない。本読みは主観と客観をドローンのように近づいたり遠ざかったりすることに長けていると思う。対象との距離を自在に操る。いつか当事者になる練習なのか。当事者である日常を重荷にしない心の作用なのか。生きることの苦痛、喜び、責任、無意味さ、はさなさ、ごちゃ混ぜになる。
2020/02/16
タルシル📖ヨムノスキー
私が〝時に海を見よ〟という文章を知ったのはいったいいつだったか。少なくとも東日本大震災の直後ではなかった気がする。自分は大卒ではないので大学というのは自分が好きな学問を極められるところだと憧れていたので、この文章を読んだ時は衝撃だったし、「そういう見方もあるのか」と感心もした。2019年の上野千鶴子さんの東大でのスピーチもそうだけど、ちゃんとした人の真剣なメッセージというのはやはり胸を打つ。もう少し早くこの本に出会えていたら、息子の大学の入学祝いとしてプレゼントできたのに。たくさんの人に読んでほしい一冊。
2021/05/06
ツキノ
積読していて、さらに読み終えるのに時間がかかった。考えさせられた。石牟礼道子の『苦海浄土』は読まねばならぬ。
2017/04/13
裏庭にゃんこ
積読本を読了。 2011年3月、東日本大震災直後。氏が校長を勤める学校の卒業式を中止、その式で卒業生たちに贈るはずだったメッセージに加筆、そして今を生きる若者たちへ氏の思いを綴った本。 本の冒頭に収録された卒業生たちへのメッセージに圧倒される。あの大震災を3月11日に経験した4日後の3月15日に、それでも海を見よとは生半可な決意無くしては言えるものではない。 あとがきに書かれていた中で、人間は忘れてよい事を意識的・無意識的に選択し、過去から学ぶことによって成長する、しかし忘れようにも過去のもの(続)
2013/06/10
goat
「海を見つめ、大海に出よ。思い出に沈殿するな。未来に向え。」力強い言葉である。つらい過去をしっかりと見つめ受け入れることから始まる。…自分には、身に余る言葉に感じる。人生孤独を見つめる時間が必要である。そして、孤独の裏にあるものを感じなければならないと筆者は述べる。人は、寂しさ、喜び、嬉しさでつながるのではなく、非情な部分にも目をむけたい。本質は、利益でなくつながることにあるのか…。海を見に行きたいとおもってしまう。★★★★☆
2013/04/03
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