トラベル・ミステリー聖地巡礼 (双葉文庫)
トラベル・ミステリー聖地巡礼 (双葉文庫) / 感想・レビュー
Tetchy
聖地巡礼はその作品を愛する者ならば一度はやってみたいことだ。このエッセイでは私自身訪れたことのある地やゆかりの地も取り上げられたことで面白く読めた。各編を読んで実際に作品の舞台を訪れて見えることは確実にあると思わされた。さらには時代の痕跡を見出すことで小説が書かれた時代の匂いを感じ取り、思いを馳せられる。今またテツブームが起きている。つまり時代が鉄道ミステリをまた求めているのだ。ミステリは時代を映す鏡である。旅愁をそそるその土地の魅力と文化、そして時代をも包含したトラベル・ミステリーを期待したい。
2021/06/08
HANA
かつて一世を風靡したトラベル・ミステリー。鉄道を中心にその舞台となった土地を訪ねた一冊。内田康夫が亡くなりいまや西村京太郎一人が気炎を吐いているこのジャンルだけど、このように紹介されるとやはり独特の魅力を持っていた事が再確認できる。子供の頃内田康夫を読み込んだ身としては、そこはかとない懐かしさも感じたり。しかし乱歩から新しくは島田荘司、有栖川有栖まで鉄道とミステリを組み合わせるとやはり独特の味があるなあ。最近時刻表ミステリはほとんどお目にかからないけど…。あと著者の乗り鉄っぷりもいい味を出していました。
2019/11/21
涼
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2020/04/post-c8c82c.html
2020/04/26
Yuki
トラベル・ミステリーの現場を行くコラム集。近いものには有栖川有栖「作家の犯行現場」という本が以前あったが、こちらはほんとの聖地巡礼。乗り鉄とミステリの蘊蓄の案配がよく、あらすじの紹介も巧み。未読だらけのトラベルミステリを探して読みたくなる。未読の小説に挑む合間にちょうどいい刺激を受ける本だった。
2019/09/27
浅木原
商業的には80~90年代のミステリーの中心だったのに、ミステリー史ではほとんど無かったことのように等閑視されるトラベルミステリー。メインは聖地巡礼エッセイだけど、トラベルミステリーの定義と現代までの歴史が(明らかに本格サイド視点からの史観ではあるけど)オマケの小論とはいえコンパクトにまとめられているのがポイント。異論反論を述べる余地も含めて価値があると思う。本編の聖地巡礼エッセイでは『空白の起点』の犯行現場探しと、『押絵と旅する男』の「山間の小駅」探しの回が白眉。既読率は9/18なのでいい方かしら?
2019/09/24
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