KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

『坊っちゃん』の時代 第4部 明治流星雨―凛冽たり近代なお生彩あり明治人 (第4部)

『坊っちゃん』の時代 第4部 明治流星雨―凛冽たり近代なお生彩あり明治人 (第4部)

『坊っちゃん』の時代 第4部 明治流星雨―凛冽たり近代なお生彩あり明治人 (第4部)

作家
関川夏央
谷口ジロー
出版社
双葉社
発売日
1995-04-01
ISBN
9784575933956
amazonで購入する Kindle版を購入する

『坊っちゃん』の時代 第4部 明治流星雨―凛冽たり近代なお生彩あり明治人 (第4部) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

阿部義彦

第4巻を読み終わり残すは最終巻のみとなりました。この巻での主役は幸徳秋水で『大逆事件』の事が取り上げられています、確かに管野須賀子、新村忠雄等は爆弾を作る計画はしたが未遂に終わった。しかし、政府、警察などの思惑によって無政府主義の指導者だった、幸徳秋水まで冤罪により処刑される事となりました。この後国の締めつけは更に厳しくなり、特高(特別高等警察)までが作られるまでになりました。さり気なくワンポイントで南方熊楠が登場して緊張を和らげてくれます。啄木はこの事を記事にする役割を、ラストの巻を待つ。

2023/10/26

みつき 

幸徳秋水を軸とした無政府主義、社会主義運動がどういう経緯で明治43年の大逆事件へと向かっていくのかを丁寧に描いた第四巻。特に同じ女性として興味深かったのが菅野須賀子。不運な境遇から男に理想を抱き、政府に理想を描き、生きる意味を見出そうとした空虚な女性。彼女が求めたものは今は色褪せた思想だという事も悲しい。

2013/02/15

しゅん

大逆事件前夜の群像劇。積極性と消極性が同居する幸徳秋水の足取り、継母との不和から妾としての生活を経た菅野須賀子の移り気な衝動、須賀子に翻弄される荒畑寒村の青春。漱石・鴎外・啄木といった本作の主人公格たちの動向も描きつつ、混迷の様相を追っていく。大逆事件についてはもちろん知っていたが、天皇爆破未遂の拡大解釈による大量死刑(幸徳秋水は計画に一切かかわっておらずむしろ穏健派、医師の大石誠之助に至ってはただ秋水と仲良かっただけ)は端的にヤバい。ここから昭和二十年の破局が始まった、と関川夏央が書くのも納得。

2023/04/20

二人娘の父

『坊ちゃんの時代』第四部の主題は大逆事件である。幸徳秋水を中心にした弾圧事件。その内実は明治政府による「主義者」への対処方針が大きく変化させた、「えん罪」に近い見せしめ的な処刑だった。その辺りの流れが本書でよく分かる。このシリーズを読むほどに、明治という時代の面白さが伝わってくる。日本が滑稽なほど欧州に寄せていきつつ、自国のアイデンティティをどうつくるのかの葛藤と模索が、当時のインテリ層の苦悩からヒシヒシと感じられる。

2022/03/22

ツキノ

大逆事件(幸徳事件)を軸に描く。管野須賀子のことを瀬戸内晴美さんが描いているようなので読んでみたい。「火のように寂しい人」とは…ここに描かれている姿はいわゆる色っぼい女とかそういう類ではないけれど、たしかに男を翻弄しそうだ。田中正造も出てくる。小学校の国語の教科書で知ったのでいまでも印象に残る人。

2015/07/13

感想・レビューをもっと見る