この世界の片隅に (上) (アクションコミックス)
この世界の片隅に (上) (アクションコミックス) / 感想・レビュー
海猫
ほのぼのとした雰囲気や絵の淡さには漫画を読む喜びに溢れているが、とても儚く脆いものに見える瞬間がある。戦時中の広島を描いているからこそ悲しい予感を察してしまうが、そういった時代背景抜きにしても優れた内容ではなかろうか。なにか二度と帰ってくることのない、かけがえのない時間を切り取ることにとても長けた手腕を感じた。続けて読んでいく。
2016/11/17
bookkeeper
★★★★★ ケーブルTVで映画が放送されて、感動したので原作を急遽入手。アニメは原作にかなり忠実なのだが、入れきれなかったエピソードがあり、新たな気づきもあった。 すずさんは人喰い鬼や座敷童、波の兎など現実とイマジネーションの境界をごく自然に往き来する、とても大らかで愛らしいキャラだ。 ほとんど面識の無い人に嫁ぎ、翌朝から家事をフルでこなす。ストレスが多くて大変だろうが、それでもかけがえのない日常なんだね。結末を知っていても応援せずにはいられない。 第1話から最終回まで、約2年なんだね…
2018/04/14
またおやぢ
世界の耳目を集める事件の起こる前、本当にこの世界の片隅で一生懸命に生きていた人々の生活や想いを丹念に柔らかい線で描ききった一冊。今を懸命に生きることこそが、人間の幸せなのかもしれない...それが悲劇に繋がっているとしても。
2016/12/01
えちぜんや よーた
小学校や中学校で「戦争」を教わったときは、「悲惨な体験」、「一般国民は踊らされた」、「戦後は違う」というイメージを植え付けられすぎたような気がする。日常生活が淡々と続いていることに今も昔も変わりない。学校で教わった固定観念は「エラいさんの上から目線」にすぎなかった。北條すずさんの口癖は「うちゃー、よーぼーっとしとるけー」(広島弁)だけど、毎日生活していると大なり小なりそんなもんだろう。そんな日常にたまたま「戦争」が乗っかってきただけ。だからこそクラウドファンディングで映画になるほど支持が集められたと思う。
2017/01/15
s-kozy
本巻は昭和9年1月〜19年7月まで。主人公・北条(旧姓・浦野)すずは絵を描くことができる。広島から軍港呉へ嫁いできた。淡々と積み重ねる日常、嫁としての立場の弱さ、すずは広島の街を描き残す。そして、大きくなる戦争の影。それでも積み重ねる夫婦としての日常。人は生きていく。
2017/02/21
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