この世界の片隅に (中) (アクションコミックス)
この世界の片隅に (中) (アクションコミックス) / 感想・レビュー
海猫
その時代に生きているかのように錯覚させるほどの細部の描き込み。またそれが情報としてではなく、活き活きとし豊穣で時にはアイロニーさえ見せる。価値観の違う時代の生活が真に迫るので、それが開放感に感じられたり、締め付けられるような閉塞感にも思えたりもした。次の下巻へ。
2016/11/17
bookkeeper
★★★★★ 中巻ではリンさんと知り合い、水原さんとつかの間の再会をし、呉にも空襲があるなどいくつかの大きな転換点が。 蟻よけに失敗して砂糖を失ってしまったり、着物を断ち間違えて落ち込んだり、ふふっとしてとても優しい気持ちになる表現が一杯。すずさんが長いものを持ったら、周りの人が出来るだけ近づかないのも楽しい。 一方で、すずさんを見送った後のリンさんの佇まいや水原の寝所にあんかを届ける場面など、言葉にできない情緒が。 「しみじみニヤニヤしとるんじゃ!」は読む度のんさんの声がはっきり聞こえる。
2018/04/14
えちぜんや よーた
夫婦といっても北條すずさんは18才で周作さんは22才。お互いの男女関係についていろいろ詮索が巡りますわな。見かけ上どのページを開いても戦時中でカーキ色っぽいけど、登場人物の心情風景は見事に色鮮やかです。ただ、まだ中巻だけあって、すずさんは「この世界の片隅」の片隅にも自分の居場所を見つけられていないような気がする。「ヨメの仕事」が自分の本当の居場所じゃないよ。これからの試練で「片隅」を見つけられるんだよ。と、おっさん目線で突っ込んでしまったw
2017/01/15
s-kozy
中巻は昭和19年7月から20年4月まで。呉の地にも戦争の影が濃く覆いかぶさって来る。それでも季節は巡り花は咲く。胸に去来するは「今生の別れか」という思い、その思いを胸に秘めながら見る桜。すずが体現する「この世界で普通で」いることの価値。春が過ぎれば夏が来る。
2017/04/05
青蓮
「誰でも何かが足らんぐらいでこの世界に居場所はそうそう無うなりゃせんよ」リンさんの強い言葉が印象的でした。戦争の色が濃くなっていく日常が読んでいて辛いけど、すずのほんわかした性格や雰囲気に救われる。それはすずの周りにいる人達もきっとそう感じていたはず。
2017/01/29
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