小出大和守の秘命 箱館奉行所始末2 (二見時代小説文庫)
小出大和守の秘命 箱館奉行所始末2 (二見時代小説文庫) / 感想・レビュー
Die-Go
幕末の箱館を舞台に、箱館奉行所の調役支倉幸四郎が数々の問題に立ち向かう連作短編集。本巻は、また起伏のある事件や出会いが幸四郎に起こる。アイヌとの交流が多く描かれている。史実とのクロスオーバーがなかなかに興味を牽かれる。さて、次巻はどんな事件が待ち受けているのか。★★★★☆
2017/07/11
浅葱@
調役の支倉幸四郎、奉行の小出大和守よりも「箱館」そのものが描かれ面白かった。五稜郭が奉行所を守るために築かれたとは思ってもみなかった。それほど幕末の箱館は外国と政治的にも商業的にも要の地だった。外国との駆け引き。倒幕の罪人。江戸の実家でのいきさつ。和人とアイヌ。支倉と一緒に蝦夷を知っていく気分がした。事件を調べ探っていくのだが、関係を手繰るうち人間性が浮き彫りになっていくのが興味深い。可笑しみや仕方のない想い。事件を追う縦の線から、人や箱館が広がりつながっていく横の線へ。シリーズまだまだ続きありと思う。
2014/04/28
高橋 (犬塚)裕道
星4。面白いよう〜!長崎に比べて舞台になる事が少ない箱館、史実から大変面白く興味深く話を紡いでいる。江戸時代末期にアイヌに天然痘が流行ってその対策として箱館奉行(江戸幕府)は種痘を実施している。少数民族に対してこのような事をした国は当時殆どないらしい。日本を誇るわけではない、当時でも英明な人が官僚にいたという事だ。もっと読まれてほしい小説だなあ。
2017/03/28
虹色魚礁
江戸とは違い箱館の風情が新鮮な、箱館奉行所始末シリーズ。 相変わらず小出奉行はキレッキレで、幸四郎はあたふた走り回る。でも、少しずつ幸四郎がたくましくなり、小出奉行の信頼を得ていく様子は、微笑ましいです。 人種のるつぼ、箱館の治安を守る箱館奉行所。ただでさえ国際問題になりかねない厄介な事件が頻発しているのに、今回は、尊王攘夷志士が出てきたりと、少しずつ幕末のきな臭さがただよい始める。小出奉行の退任、箱館戦争へと続くことを予感させつつ次号へ。
2018/04/21
hakodadi
あまり知られることがなかった箱館奉行を取り上げた連作シリーズ2作目。正直いって個々の短編のプロットはやや月並だが、幕末の箱館の雰囲気や奉行・役人の行動はよく調べて書いていると思う。手軽に函館の歴史を学ぶには結構お役立ちと、推薦。
2014/06/19
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