風は山から吹いている ―― Why climb mountains with me?
風は山から吹いている ―― Why climb mountains with me? / 感想・レビュー
いつでも母さん
恩師の滑落死は自殺か事故死か?それは自分の所為?その思いが頭から離れない大学生・筑波岳と山登りに誘った一風変わった登山部の先輩・梓川穂高。「下界だと聞けないことや言えないことが、何故か聞けちゃうし言えちゃう」山はそういう場所なの?人を洗う場所なの?やっぱり私は山に登れないし登らない。けれど山頂から見える景色は素晴らしいのだろうなぁ。登山される方はきっと楽しく読めるだろう。ただ、穂高の言葉「慰霊のための山登りは、自分のためにするんだ。少しだけ軽くなって、少しだけ受け入れられる」この言葉はとても沁みた。
2021/05/17
ウッディ
高校時代にスポーツクライミングで活躍したが、コーチの薦めに逆らい大学での部活を止めた筑波岳は、コンビニ感覚で山に登る変人・穂高のいる山岳部に入る。雄大な景色と素直に胸のうちを話せる場所としての山に魅せられた岳は、かつてのコーチが山で亡くなったことを知る。山頂で食べる飯の旨さ、高山植物の可憐さ、そして自分の悩みが小さく感じさせる自然のスケール、ここしばらく山登りをしてなかった自分に山の魅力を思い出させてくれる一冊でした。恩師の死にまつわる謎ときに一役買ったミステリー研究会の会長が良い味を出していました。
2021/07/10
のぶ
自分は若い頃にちょっと登山をやっていたので、山に関する本は嬉しいが、本作は寂しげな内容だった。主人公の筑波岳はスポーツクライミングの元一流選手。大学に入り山好きの梓川穂高と知り合い、登山に誘われる。幾度か一緒に山を登ったある日、岳のスマホを高校時代のコーチ宝田謙介が宝剣岳で転落死を遂げる。原因は事故なのか自殺なのか?筑波岳はいくつかの山に登りながら常にその事に悩まされていた。登山遭難を描いた物語は多いが、師と慕っていた人物の死の真相をこんな形で描いた物語は珍しいと思う。だがラストではすっきりした。
2021/05/03
とん大西
爽やかです。山岳モノはそれときいただけで門外漢にとってハードルを少し上げてしまいがちですが、岳と穂高のバディでのぞむ瑞々しい登山に惹き付けられて一気読みとなりました。事故か自殺か。宝剣岳で滑落死した恩師宝田の忌わ際の思い…。苛み悔やむ岳、そんな彼に飄々としながらも手をさしのべる穂高。許したかった、許されたかった。蹉跌と喪失の先にたどりつく頂きに優しい風が吹いてくる。青春小説の王道ともいえる読み応え。後味爽やかで満足です。
2021/05/30
matsu04
大学山岳部の青春物語。爽やかである。ちょいミステリ的なところもあったりして一気読みさせられる。山岳小説とまではいかないものの、山登りの楽しさ素晴らしさは十分に伝わってくる。
2021/06/17
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