過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) (二見文庫 ブ 1-2 ザ・ミステリ・コレクション)
過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) (二見文庫 ブ 1-2 ザ・ミステリ・コレクション)
- 作家
- 出版社
- 二見書房
- 発売日
- 1987-04-21
- ISBN
- 9784576870564
過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) (二見文庫 ブ 1-2 ザ・ミステリ・コレクション) / 感想・レビュー
chiru
『初秋』から読んだスカダーシリーズの1作目。娘を殺された父親の依頼で、事件の謎を追う探偵。重要な鍵になるのは、ふたつの家族の二人の父親が背負う、一生消えない“十字架”。前に進めない父親たちに探偵が示すそれぞれの道は、探偵自身の“十字架”にもつながっている。探偵が誤って死なせてしまった少女のために、ろうそくを灯すラストは、暗闇を照らす希望の灯だと思う。罪から目を逸らさない探偵の哲学があるからこそ、心の奥まで感動が沁み入ってくるのかもしれない。ずっと心に残りそう…。この作品に出会えて嬉しいです。 ★5
2019/06/17
🅼🆈½ ユニス™
探偵マット・スカダー・シリーズ。シガーとウィスキーを吟味したくなるようなクラシック推理小説を十分に楽しんだ。それほどのスケールの大きい話でもなく、最後は多少強情な推しが伺えたもののそれが最高に洗練されたストーリーを上回ったわけではない。「犯罪者が処罰を受けないまま生きる社会は健康な社会ではない」
2021/02/23
セウテス
マット・スカダー初作品です。ハードボイルドですが、なんだか昭和のレトロ作品を読んだ様な感じがします。ヴィレッジで女性が殺害され、同棲していた男が犯人として警察に捕まります。しかし男は牢屋の中で、自殺をしてしまいます。女性の父親からスカダーは、娘がどの様な人生を送って居たのか、調査を依頼されます。彼が調べてみると、意外な事実が解ってきます。一作目ということで、スカダーの人となりや背景が紹介された感じがします。どことなく哀愁漂う人柄に不器用な性格、全体的に暗い雰囲気なのに、さらっとしていて読みやすい作品です。
2015/04/02
Tetchy
アル中探偵マット・スカダーは本書から我々の前に姿を現した。ローレンス・ブロックの筆によって我々に紹介されたのだ。ブロックは存在した探偵を掘りだし、それを文章と云う形で教えてくれたのだ。そんな風に考えてしまうほど、このマット・スカダーという人物が人間臭い。彼が真犯人に下した決断は果たして冷酷で容赦ないものだろうか?彼は被害者たちを調べていくにつれ、2人のこれからの生活を打ち砕いた者が許せなかっただけなのではないだろうか。従ってスカダーは冷酷などとは決して感じない。彼はそう、純粋なのだ。そんな風に私は思った。
2013/06/17
tom
先日、ローレンス・ブロックの新作を読んだ。大昔にわりと熱中して読んだ作家。昔懐かしい気分で、第一作を手に取ることにした。主人公スカダーは、刑事を辞めたばかりの非登録探偵。殺人事件が起きた。被害者の父が娼婦をしていた娘の死について調べてほしいと頼み込む。スカダーは、歩き回る。そして結論を導き出す。驚くほどに軽い筆先。サラサラと読める。今どきのミステリーと比べると、深刻なテーマなのに、奇妙に軽妙。大昔には、これを面白いと思って読んでいたのかと思いながら読了。ミステリーも進化する?
2021/05/20
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