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慈悲深い死 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) (二見文庫 ブ 1-6 ザ・ミステリ・コレクション)

慈悲深い死 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) (二見文庫 ブ 1-6 ザ・ミステリ・コレクション)

慈悲深い死 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) (二見文庫 ブ 1-6 ザ・ミステリ・コレクション)

作家
ローレンス・ブロック
田口俊樹
出版社
二見書房
発売日
1990-07-25
ISBN
9784576900988
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慈悲深い死 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) (二見文庫 ブ 1-6 ザ・ミステリ・コレクション) / 感想・レビュー

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セウテス

【マット・スカダー】シリーズ第7弾。俳優を目指していた娘の行方を、探して欲しいと両親から依頼入る。調査をしている中で、スカダーは友人のエディの死体を発見する。彼は前作からアルコールを絶っており、エディは断酒会の仲間である。事件を追う合間、酒を飲みたくなる度に飲まないと心の中で歯を噛み締める。飲まないスカダーのアルコールとの戦いは、酒に溺れる男の悲壮感に負けない読み応えだ。重厚な雰囲気の物語は、このシリーズならではの良い中毒性だ。ミステリを忘れてしまいそうになるが、見事な伏線回収の結末に思わずニヤリとなる。

2020/04/29

Tetchy

これは非常に危うい物語だ。断酒をして3年以上のマットだが、いつまたアルコールに手を出すのか終始冷や冷やさせられる。原題“Out On The Cutting Edge”は「刃の切っ先に立っている」状態、即ち断酒をしながらもいつまた酒を飲むか解らない不安定な心理状況を謳ったものだ。過去の過ちから酒に逃げていた男の物語なのにマットと云う人物の根幹を成す設定を敢えて放棄することで物語を紡ぐことは作家にとってかなり大きな冒険であろう。その後シリーズは巻を重ねてシリーズの評価を高めているのだから畏れ入る。

2015/03/10

びぃごろ

【マットスカダーシリーズ⑦】状況設定に気を揉んでいましたが、AA(アル中自主治療協会の集会)に通う現在進行形のマシュウでした。訳者あとがきの通り、酒断ちは「今もアル中だからである。飲まないのは飲むと死ぬからである」に納得。居場所が酒場から教会に変わってもスカダーの苛酷な状況は変わらない。今回は女優を目指してNYにきた娘の行方を捜す依頼とAAで出会ったエディが「聞いてほしいことがある」と伝えたまま部屋で事故死する。手掛かりも乏しく、事故死にも不審を覚えながらAAの恋人の別れと新しい出会いも描かれ、結末に唸る

2022/09/03

みやび

断酒しているマットにお酒好きのガールフレンドができて、集会をサボったり友人の忠告も聞かないから、こりゃ飲んじゃうかも…とハラハラ。アル中時代は読んでいるこちらも辛かったけど、今は自分と向き合っていてかっこいい。断酒会仲間の死は依頼とは関係ないのに気にかけて調べるのも、娘を心配する両親への思いやりのある報告も、マットかっこいいと思う。

2022/02/16

ネムル

アル中探偵第二章のスタート。断酒から呑むや呑まざるやのふちに立ちながらも、憐憫と感傷癖はほどよく抜け、少しずつ社会に対して開かれていく様が面白い。まあ、ミステリの筋立てにはあまり感心しないが、評判のよい次作以降へのつなぎとて。

2021/12/30

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