旅と芸術: 発見・驚異・夢想
旅と芸術: 発見・驚異・夢想 / 感想・レビュー
misui
古代・中世から近現代にいたる「旅」の概念の移り変わりをイメージを交えつつ。未知を既知に変えるのが旅だとすればそれは常に新しいイメージをともなうもので、発見・驚異・夢想をテーマにその歩みの様々を示してくれる。巖谷國士が監修しているだけあって夢想の精神史というようなところがあり、オリエンタリズムやエグゾティスムの問題をフォローしつつシュルレアリズムまで射程に入れている。旅行者がフラヌール(遊歩者)に通じているというのにははっとした。手元にあれば事典的に沢山のテーマが拾えそうな便利な本。
2016/12/31
保山ひャン
巖谷國士さん監修、著。旅から旅へ〜旅への誘い〜オリエントの魅惑〜自然・観光・鉄道〜世紀末のエグゾティスム〜空想の旅・超現実の旅〜旅行者の見た日本の自然。現代にはもう「旅」がない、という意見に対して、「要は想像力」と返す巖谷さんも一人の旅人なのだろう。本書のサブタイトル「発見・驚異・夢想」への誘いの書でもあった。
2017/03/05
いなり
図録がメインかと思ったが、読むと文章が素早く、旅とはどうゆうものだったかわかりやすい。 旅とは日常から離れ、別の土地に移動しそこで出会うものに驚き、感動して世界の多様性に気づく事。それは、原初は同一だった人が数万年かけて世界の隅々に移動し、環境に応じて進化した結果の多様性。 旅の情報が今では行き渡り、旅に特有の未知はなくたったと言われるが、旅は既知を未知に変える。情報を仕入れて現地に行っても、その場で感じる現在は情報と無縁の偶然で、そんな情報は一気に吹き飛ぶ驚異に出会える。
2020/05/06
チエコ
旅とは未知を既知へではなく既知を未知に変えるもの、という後記がとてもよかった
2018/09/08
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