草の根の軍国主義
草の根の軍国主義 / 感想・レビュー
shouyi.
終戦時14才、当時バリバリの軍国少年であった佐藤さんの戦争への思いが強く伝わってくる。なぜ勝てると思えないアメリカと戦ったのか、その時の気分を忠臣蔵につなげたや、東條英機という人間の見立て、アジア映画を観ての思いなど、評論の範疇に入れて読んでほしい一冊。
2021/09/06
takao
ふむ
2023/07/07
rockwave1873
1930年生まれの佐藤忠男が「日本の軍国主義は、日本人の多数の途方もないほどの従順さによって支えられていた。軍国主義は一部の軍国主義者たちだけのものではなく、草の根の広がりと深さを持っていた」という思いから、その時代の気分と、ものの感じ方方について書いた一冊。「内輪の争いに勝ち残っただけの構想なき指導者が戦争を拡大させ、天皇への一切の言説をタブーとする草の根軍国主義の存在が兵士に捕虜ではなく玉砕・自死を選ばせた。」と考察。足元は平和を脅かす事態が忍び寄っている。そんな時だからこそ読む価値のある一冊。
2023/01/20
jinkan_mizuho
映画評論家による戦前・戦中と戦後直後の自分史。加えて、「軍国主義」や「大東亜共栄圏」といったものを映画を通して考察。 「アメリカ人にわれわれはどう見えたか?」の章で、日本の戦意昂揚映画をフランク・キャプラが「反戦映画」と言ったという点に、日本人との感性の違いに大いに感じるものがある。 その他、アジアの映画や映画人の話が興味深い。 過去を省みることで、未来について思索。そのための参考になる書である。
2012/03/29
Hiro
本書は極めて啓発的で卓見に満ちた良書だ。孝行と忠義という徳目についての分析、特攻隊の意味、捕虜を嫌う意識の考察、忠臣蔵の話、そして特に、戦争責任を一部の指導層のみには負わせにくい日本社会の特殊性、等々、戦中戦後の空気の体験者である著者の、素朴で柔軟で曇りのない目が捉えた日本人のイメージは実に面白く説得力がある。今まで腑に落ちなかった軍国日本の無分別で理不尽で向こう見ずな行動の一端がかなり納得のいくものになった。そしてその時々の庶民の意識、認識、思考フレームがいかに判断を誤らせるかということも痛感する。
2020/01/28
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