大政翼賛会のメディアミックス:「翼賛一家」と参加するファシズム
大政翼賛会のメディアミックス:「翼賛一家」と参加するファシズム / 感想・レビュー
こーた
戦時下、翼賛一家という漫画があった。どこにでもいる一家の日常を描き、銃後の心得を説く。漫画の中の風景は、現実の生活と地続きになって、いつしか戦争という虚構へ、国民を連れ去っていった。二次創作の奨励、映画に演劇、ラジオドラマ、人形劇、歌謡曲への多メディア展開。古川ロッパが歌い演じ、花森安治が窓口になって、長谷川町子が新聞に描いた、戦時下のメディアミックス。そんな子ども騙しには、今なら乗らないとおもうかもしれない。ほんとうにそうだろうか。ネットとSNSの発達で、大きな声はずっと広く速く拡散するようになった。⇒
2019/02/14
ぐうぐう
戦時下に『翼賛一家』という漫画があった。大政翼賛会が主導して生み出されたキャラクター達は、漫画に留まらず、レコード化、ラジオドラマ化、小説化、と様々な媒体へと広がり、政治的動員の手段として活用された。大塚英志はその手法を、角川書店が展開するメディアミックスの起源と揶揄するが、それが大塚のいつものお家芸と思いきや、今回はややニュアンスが違っているのだ。大塚は角川のメディアミックスの仕組みを作った当事者の一人として、それが実は戦時下にすでに登場しており、(つづく)
2021/10/27
ophiuchi
ナチスが書籍、新聞、ラジオ、映画などのメディアをプロパガンダに活用したことはよく知られているが、大政翼賛会もメディアを戦略的に利用していたことは知らなかった。いま本屋では嫌中・嫌韓本が平積みされ、ネットにも同様な言説があふれている。先日は安倍首相が吉本新喜劇に飛び入り出演して、それをマスメディアが伝えるという「事件」があった。昭和初期と平成から令和に変わった現在とは、考えていた以上に似通っている。
2019/05/09
サイバーパンツ
大政翼賛会という編集機関が翼賛一家というキャラクターを用いて行った参加型メディアミックスによって、「町内」や「ニコニコ運動」などを教化され、「動員」された素人の姿は、角川型、SNS型のプラットフォームを介して無自覚に「投稿させられている」現代の私たちに重なり合う。また、文化映画的な方法意識により、死にゆく身体を獲得した手塚の「勝利の日まで」も戦時下プロパガンダが彼を素人として「動員」したことでもたらされたもので、戦後の表現も戦時下と地続きだと考える必要がある。
2019/02/05
Hiroki Nishizumi
翼賛一家は知らなかったな。時代が変わっても人間の考えることは変わらない訳か。
2019/06/27
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