新訳 ビーグル号航海記 上
新訳 ビーグル号航海記 上 / 感想・レビュー
Gotoran
若きダーウィン(22歳)が英海軍測量船ビーグル号に乗船して南米大陸沿岸、南太平洋諸島を巡り、各地の動植物の生態や地形を詳細に観察した日誌風の記録。本書(上巻)は、サンチャゴ島ーベルデ岬諸島(第1章)からマゼラン海峡ー南海岸の気候(第11章)まで、主に南米大陸東沿岸での記録。地質・地形や動植物等の自然観察だけでなく、人間社会の観察も、西洋人(文明人)視点は否めないが、幅広い視野で行われている。好奇心旺盛な観察眼と鋭い感性からのダーウィンの記述は、実に興味深く、読書意欲が大いに惹き立てられた。
2016/09/28
翔亀
NHKのTV番組「ダーウィンが来た」は世界の珍しい動物の思わぬ生態を伝えてくれ楽しみにしているが、なぜダーウィンの名がついているのか、進化論を語っているわけでもないのに、と疑問に思っていた。本書を読むとその疑問が氷解する。「ダーウィンが来た」そのものなのだ。22才で英国海軍の測量船ビーグル号に乗り込んで世界一周をしたことはよく知られているが、その航海の中身は現在のクルーズと比較すると想像を絶している。船に乗っていただけではないのだ。まず南米ブラジルから南下するのだが、上陸して一か月余りの内陸探検を↓
2017/01/15
ボルボン
当時の南米の様子を伝える資料です。いまも残るガウチョの暮らしや動物たちの生態など興味深いことがたくさん書かれていました。化石採集も楽しく。これが一船員の書かれた記録ではこうはいかなかったでしょうね。ダーウィン並みの知識人でなければ。旅行記ってのは書く人のキャラクターも楽しむ一要素ですね。
2015/11/14
壱萬参仟縁
1845年初出。35頁のハリセンボンの1種の絵はとても面白い表情。キモ可愛い感じ♡。だが、実際には「咬む力が強いこと。口から水鉄砲をかなり飛ばせること。同時に、顎を動かして奇妙な音を出せること」(36頁)もあり、自衛手段に事欠かない。動物の美しい挿絵も入り、日本ではあまり見られないような種に驚きながら読める本。鉛筆画と思われる163-4頁の巨大絶滅哺乳類の骨のリアルな描写は魅力的だ。鳥の挿絵も上手だな。モンテビデオの警察、司法は機能せず、金持ちで友人が多ければ重大結果にならない、依怙贔屓の国(296頁)。
2013/10/23
塩崎ツトム
世界的な名著を荒俣宏による新訳で。ダーウィンが自然選択説を唱える前から、生物種が変化していること、地球の表面がかなりダイナミックに変動していたという二つの事実が、知的階級の間では広く共有されていたことがわかる。
2017/04/09
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