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新訳 ビーグル号航海記 下

新訳 ビーグル号航海記 下

新訳 ビーグル号航海記 下

作家
チャールズ・R.ダーウィン
Charles Robert Darwin
荒俣宏
出版社
平凡社
発売日
2013-08-14
ISBN
9784582541397
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新訳 ビーグル号航海記 下 / 感想・レビュー

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壱萬参仟縁

チロエ島の住民は、4分の3はインディオの血を引く。つましく、おだやかで、勤勉な人びと(53頁)。島の人たちの島民性は山国の人間も学ぶ必要を感じる。食べものにこと欠かないが、貧しい。仕事はまるでない(54頁)。これは問題。進化論の著者が、未開文明や大航海時代のような記録を残していたのは驚きである。世の動きから外れる、ガラパゴス化の元となる諸島の話(第17章)。火山が島になったようだ。タヒチの道徳観は、信仰心の高さと同様、高水準(305頁)。不正直、飲酒癖、淫蕩はキリスト教移入で激減したという。人間らしさを。

2013/10/23

roughfractus02

チリ地震体験による津波と地面隆起の記述は、イギリスに運ばれて精錬される銅の鉱山やマイブ流域の果樹園の労働の描写と連続する。同様に、有名なガラパゴス諸島でのフィンチの観察による変異と淘汰の洞察は、タヒチやニュージーランドの住民への植民地主義者の眼差しと連続する。この連続的な観察と記述は、著者の観察を自らの習慣を投影する解釈から自らを超える自然の運動にシフトさせる。インド洋キーリング島の観察では、地震の地面隆起の記憶と相まって、環礁になる条件を水面近くに生きる珊瑚が沈下によって成長して環状に残ったと仮説する。

2017/09/12

下良

1835年、種の起源のヒントとなったガラパゴス群島の記録。ジェームス島、チャールズ島、アルベマール島など10島程からなる。ダーウィンの注意を引いたのは、島により異なるかめの甲の形。首の上が広がっていて上に首を伸ばせるもの(背の高いサボテンを食すため)、丸くなっていて伸ばせないもの(草地を食)がいる。トカゲや鳥類など(渡り鳥を除く)人への警戒心がない。しかし、フェド島のように土着民がいる島の鳥は、狩猟を受けているので警戒心が高いなど生態が異なる。生き延びるための経験が進化を生んでいる。

2018/10/21

Rootport Blindwatchmaker

航海中の日記とメモをもとに書かれた本書。面白いのは、著者の成長を垣間見られる点だ。大学卒業直後のダーウィンは、今でいう「モラトリアム大学生」や「真面目系クズ」だった。ところが、5年間の航海が彼を変えた。たとえば上巻の、とくに序盤の内容は、はてなブロガーさながらの表面的なエッセイに過ぎない。一方、下巻では自然に関する記述がより科学的なものになり、植民地に関する社会学的な考察は一段階〝深い〟ものになっている。著者の人間的な成長が行間から滲み出しているのだ。久しぶりに読み終わるのが惜しいと感じられる一冊だった。

2017/10/24

vivol

人間を含めた自然との出会いが旅の収穫だったそうです。これはもう当たり前ですけど、本で読むのと体験するのとでは全然違うでしょうね。

2016/11/03

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