澁澤龍彦の古寺巡礼 (コロナ・ブックス)
澁澤龍彦の古寺巡礼 (コロナ・ブックス) / 感想・レビュー
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澁澤龍彦の文章の世界の何が私を惹きつけるのか考えてみたけど、文章そのものよりもその根幹をなすその博学さと好奇心だと本書を読みながら気づいた。この本は澁澤夫妻の愛した寺を追いながらどんなことに興味を持ちながら旅し、どんなものを見てきたのか、同じ景色に立っていたかのように色鮮やかに浮かび上がった。この本に出てくる名所の中には様々な事情を経て現存しないものもあって、今現存する文化財の恩恵を当たり前に享受していたけど、それを保護しようとする意思と努力があってこそなんだということと、そのありがたみを実感した。
2014/09/28
yn1951jp
瀧子の記録に基づく古寺巡礼は、彼の物語への巡礼でもある。「六道の辻」(唐草物語)の六道珍皇寺の篁伝説の井戸、「うつろ船」で水音が法文を唱える比叡山の横川、「女体消滅」で女の朱門に譬えられた伏見稲荷の千本鳥居。」そして「高丘親王・・・」では、「単孔卵生女」の「迦陵頻伽」(南禅寺山門)、「鏡湖」に譬えられた琵琶湖や金閣寺の鏡湖池、「蜜人」の高野山奥の院での和上の入定など。三島や谷崎との接点も興味深い。没前に執筆を構想していたという「木地師の祖とされる惟喬親王」の高雲寺も含めて彼の小説世界の巡礼である。
2014/11/23
魚京童!
言葉に囚われている。そんなことを思った。考えることを放棄しても、そこに何かがある。それを言葉にしようとする。そうすることで考えてしまう。考えなければいいのかというとそうすることもできない。考えていればいいのかというと考えることに疲れてしまう。その塩梅が難しい。身体を動かすことをしたいけど、それはそれで疲れる。疲れるけど、考えることで、身体が動くこともあって、ただ寝ていることができないからこそ、動かす必要があるのかもしれない。
2023/08/07
九鳥
読書熱と旅行熱が共にかきたてられる本。巡礼気分を盛り上げるのに最適でした。澁澤龍彦が西国三十三所の札所をかなり巡っているのが何やら嬉しい。それ以外にも気になる寺がたくさん増えてしまったなぁ。唐草物語は後でじっくり読み返したいと思う。あと三島由紀夫の「金閣寺」も。
2009/01/28
Dr.strangelove
寺社について知識のない自分にも興味深く、ご夫妻の旅の記録としても素敵だった。写真とエピソードをたっぷり満喫できる。
2014/08/18
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