パリのパサージュ: 過ぎ去った夢の痕跡 (コロナ・ブックス 137)
パリのパサージュ: 過ぎ去った夢の痕跡 (コロナ・ブックス 137) / 感想・レビュー
yn1951jp
パサージュは「海緑色の深海に突然スカートがめくれて女性の脚が見える人間水族館」(アラゴン『パリの農夫』)「まがい物宝石、金メッキ亜鉛、革を模したボール紙などの安ぴかものに対する若いときの情熱の名残」(ゾラ『ナナ』)「首都のはずれでふるえている死にそうな竪琴の疼きのひとつ」(ブルトン『溶ける魚』)。白貂の乳房をもつ女やエキドナ(下半身蛇の女)やハルピュイア(下半身鷲の女)や鮫人が、陳列された現実の事物の間から飛び出し…いつしか完全な夢の世界「異界」へ連れ去られ、こちら側の世界に戻ってこれなくなる。
2015/07/21
momogaga
読メ開始以前の既読本。パリを旅する前に読みたい本です。
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
歴史と文学描写、現存する19のパサージュの写真付き紹介をまとめたガイドブック。 「失われたパサージュを求めて」ではパサージュへの哀惜とノスタルジーを感じ、物悲しい気分になった。
2018/01/23
マリカ
実際にこの本を片手にいくつかパサージュを歩いてみました。いくつかのパサージュに今もなお残っている、長い歴史を持つ古書屋さんや本屋さんとそのご主人が紹介されているのですが、私が訪れたパサージュの古書屋さんや本屋さんも、本に書いてあるとおりの、いい感じのご主人がいらっしゃって、パサージュの重鎮といったオーラを纏っていらっしゃいました。そんなご主人たちと気軽に?会話できる筆者をうらやましく思います。いつか私もパサージュの老舗の店主さんたちにパサージュの今と昔についてのお話を直にうかがいたいものです。
2012/05/06
Susumu Kobayashi
パサージュとは、著者の定義によれば。「道と道を結ぶ、自動車の入り込まない、一般歩行者用の通り抜け」で、「屋根で覆われて」、「その屋根の一部ないしは全部がガラスないしはプラスチックなどの透明な素材で覆われ」、「空が見える」ものであるとのこと。19世紀に現れて、一時は栄えたがすぐに衰亡し、現在パリに残っている19のパサージュについて写真を添えて解説している。著者の息子さん(?)による写真も美しく、パリに行きたくなったが、いつ行けるようになることか。
2021/02/14
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