いろいろな人たち (平凡社ライブラリー)
いろいろな人たち (平凡社ライブラリー) / 感想・レビュー
Willie the Wildcat
先日『チャベック兄弟子どもの世界』を鑑賞し手に取る。硬軟様々な切り口に垣間見る氏の信条。 『不幸の中で』や『20万人』が醸し出す平和と次世代への想いが印象的。 暗雲立ち込める時勢と、兄の未来を暗示した感。随所で示す科学技術への懸念。特に「車輪と可能性」の件は、期待と危惧の警鐘。一方、『適時読書』 や『地図』は身近で共感。前者は私自身のことを振り返り、後者はもれなく我が家の次男。 秘密・陽気さ・犬猫などの男女比較は、時代と文化を反映し少々 ステレオタイプ。但し、”四つの目”は、事実かどうかは別として笑う。
2018/05/31
meg
カレル・チャペックのほのぼのエッセイかと思いきや、切り込む斬り込む!チャペックの言葉は自分である存在を揺さぶる力強さがある。とても興味深い、そして何より面白い。
2024/09/11
かんやん
滋味溢れるエッセイ集かと思っていた。もちろん、人間や日常生活の観察をユーモラスに展開した楽しいコラムと挿絵には事欠かないし、それこそ求めていたものなのだけれど、時局・政治にテーマが移ると次第に重苦しくなってくる。著者の死後数ヶ月でナチスがチェコを占領し、挿絵を手がけた著者の兄は収容所で亡くなっているという事実。事故や災害について語りながら露呈するのは、あまりにもナイーヴなチャペックの心だ。「センチメンタルでないのは、ただ悪漢とデマゴーグだけだ。センチメンタルな理由がなければ、隣人に一杯の水も与えはしない」
2018/02/11
TomohikoYoshida
新聞2紙に掲載されたコラムを翻訳者の飯島さんが編集したもの。新聞のコラムだけあって、堅苦しいものが多い。本の最初の方は、生活感のある話題なので楽しく読めるが、どんどんと重たく暗い話題に入っていく。第一次世界大戦と第二次世界大戦のはざまの時期だからこその重さ、そして暗さである。平凡社新書の評伝「カレル・チャペック」を読んだが、それ以上に多数のコラムを通して、カレル・チャペックの人柄や思想を理解することができる。貧困層や困っている人を思いやり、平和を愛する人柄はコラムの随所に感じることができる。
2021/07/24
Don2
チャペックは本書中で、"人間を観察するのが大好きだ"との内容を再三書いている。本当にそうなんだろうと思う。彼の、人間やその心の機微を捉える観察眼、そしてすべての人間の心には良心や素朴さが宿っているという事への確信が、何気ない日記のようなエッセイから政治論まで様々な様相で表出したような本。エッセイにはにやりとさせられる皮肉が効いていて(私はさくらももこを思い出した)、政治論は民衆を構成する"隣人"への信頼に裏打ちされていて暖かい。気持ちのいい一貫性があって、博愛主義ってこういうことだなと。素晴らしい本。
2022/01/08
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