北海道の旅 (平凡社ライブラリー く 4-1)
北海道の旅 (平凡社ライブラリー く 4-1) / 感想・レビュー
翔亀
汽車とバスを使った北海道一周旅行記。名所・景勝地を巡るのではなく、足の赴くままに旅をする。それは「旅人」と呼ぶにふさわしい。たまたま出会った名も知れぬような漁村や農村の暮らしが、絶妙の距離感で描写される。調査する客観的な眼でも、住み込んでどっぷりつかった惑溺の眼でもない、通りすがりの立場を自覚した「旅人」の眼が好ましい。しかし串田さんの眼が特別なのは、その眼が同時に「山」に向けられることだ。登山家ではあるが、そう山に登るわけではない。汽車の窓から、漁村を歩きながら常に山を見ている。山に導かれる旅なのだ。
2015/09/17
あじ
1962年の北海道。桜前線真っ只中の5月を、足の向くまま気の向くままに旅をする。煮出した紅茶を“コーヒー”として出す時代である。列車を“気動車”と呼び分けているのでさえ新鮮だ。野鳥や野草の名称が豊富に飛び交い、団体旅行客の賑やかな描写が微笑ましい(筆者は苦手だったようだ)。一人旅を死守してきた筆者が、途中どういう風の吹きまわしか年齢不詳の旅人朝倉くんを迎える。そんな二人の別れ際が実に気持ちいい、忘れがたき袖ふりであった。
2019/09/23
じじょ
ああーおもしろかった。北海道を旅するとはそういうもの。 目的地もなく、汽車に乗り、その日に宿を決める。山に登り、漁村を歩き、スケッチをし、手紙を書く。自然のままに。旅の終わりもいい感じだ。さらりと。朝倉君が気になる。
2018/04/10
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