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影絵の世界 (平凡社ライブラリー は 11-1)

影絵の世界 (平凡社ライブラリー は 11-1)

影絵の世界 (平凡社ライブラリー は 11-1)

作家
埴谷雄高
出版社
平凡社
発売日
1997-09-01
ISBN
9784582762143
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影絵の世界 (平凡社ライブラリー は 11-1) / 感想・レビュー

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ゆーいちろー

人間の思考の型には「現実」型と「空想」型があって、それを例えると現実型は一本の木を製品としての材木にするようないわば、切り捨ての作業であって、他方、空想型はあるいは盆栽のように人の手を加えつつも、グロテスクであれその存在そのものを鑑賞する行為に似ているかもしれない。思考を享受する側には二つの立場があり、現実型は社会組織に対して有効であり、空想型は個人的なものに対して有効であり、それぞれその逆は成り立ちにくい。このことは、別にどちらが善い悪いではなく、ただそれぞれの思考の力学が向かう方向性が違うだけなのだ。

2013/04/07

寛理

「ロシア文学全集」の月報に連載されたという変な自伝(読書遍歴)だが、内容は大岡昇平との共著『2つの同時代史』とかぶるところが多い。大岡の愛読者としてはむしろその点で興味を持って読めた。いずれにせよ埴谷の本ではいちばん読みやすい。

2021/01/26

amanon

初めて読んだ埴谷の著作だが、エッセイという体裁をとっているため、比較的読みやすかった。ただ、やはり独特の癖のある文章…というか、「日本語としてちょっとおかしいのでは?」と思える表現が散見したのも事実。それはともかくとして、戦前の動乱期を文学や左翼活動に没頭して過ごした回想記として単純に楽しめた。とにかく、著者の旺盛な読書欲には素直に感心させられた。それから、左翼活動の前科がありながらも、何とか丼勘定体質の出版社に職を得ることができたというエピソードには、この時代ならではの大らかな雰囲気を感じさせた。

2013/06/06

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