悪魔の手紙 (平凡社ライブラリー る 4-1)
悪魔の手紙 (平凡社ライブラリー る 4-1) / 感想・レビュー
きゃんたか
先輩悪魔が後輩悪魔に担当の男を堕落させるべくアレコレと手を尽くすものの…。まずは悪魔の視点から神を「敵」と呼ばせ、逆説的にキリスト教の真理を明らかにする構成の妙が魅せる。論題は恋愛から史的イエス問題、戦争、教会生活と多岐に亘るが、筆の運びが無理を感じさせず、男を取り巻く人間関係や後輩悪魔の狼狽ぶりが紙背を透かしてアリアリと目に浮かぶ。極めつけは最後の大逆転。ここに至るクライマックスで、丹念に行方を追ってきた読者はカタルシスを禁じ得ないだろう。悪魔の存在を一度でも真剣に考えた事のある全ての人にお勧めしたい。
2022/10/24
ヒロセ
すごい、の一言。「地獄へのもっとも確実な道は、ゆるやかな下り坂だ。足ざわりもわるくない。急に方向転換する必要もない、里程標も、道標もない道なのだ。」/「民主主義もしくは民主的精神(悪魔的な意味での)とは偉人のいない国家、ろくに本も読めないような人々、若いときにきちんと訓練を受けていないために道徳的な芯のない人々、無知なのにお世辞を言われてうぬぼれ、甘やかされて育ったために軟弱になりさがった人々が主体となっている国家なのです。われわれ悪魔は、すべての民主主義国家の国民がそのようであってほしいと願っています」
2012/10/04
スミス
東京喰種で金木くんが読んでた。「愛」についての独特の価値観、表現は、ルイスさんらしい。しかし、ここでルイスさんが提示してるのは、「自分にできる範囲で...」とか、そんな妥協の一切ない信仰生活だ。理想的な人生とは、ある意味壮絶な人生ともいえるかもしれない。喰種の理解につながるかな?
2015/04/16
Atsushi Sakamoto
現役を引退したベテラン悪魔から、はじめて人間を誘惑する若い悪魔への手紙。 翻訳の問題もあるかもしれないが、なかなか読み進めることができなかった。慣れないことばに戸惑ったか、単に好奇心をそそられなかったかどちらかだろう。しかし追記で綴られている『乾杯の辞』は何故か引き込まれた。
2014/08/02
なめこ
ナルニア国物語が好きなのだけど、ルイスの作品はナルニアしか読んだことがなかったので。最近聖書を読んでいるので、ナルニアを思い出しながら読んだらすんなり頭に入ってきた。担当の人間が死んだ時、目が開かれた、うろこが落ちたさまはユースチスが竜のウロコを脱ぎ捨てた時のことを連想させるので、あのシーンはやはり洗礼だったのかなと。悪魔がなかなかユーモラスで憎めない。ワームウッド君は健闘したけどおじさんに食べられてしまったのかな…。トールキンに捧げられているところも興味深いと思う。
2016/04/17
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