子どものための文化史 (平凡社ライブラリー)
子どものための文化史 (平凡社ライブラリー) / 感想・レビュー
踊る猫
流石はベンヤミン。都市を歩き、庶民の生理感覚に寄り添った文化研究(カルチュラル・スタディーズ?)を重ねた人物が語る言葉は――野村修の功績もあり――こんなにも平明で瑞々しい。「パンのための仕事」だったとか興醒めなことが解説では書かれている。そうかもしれない。が、どんな事情であれベンヤミンは自分の思考を象牙の塔の中だけで閉じ込めておくのではなく、人に伝えてその価値を確かめるきっかけを大事にしたいと考える人間だっただろう。ドイツの文化史、例えばゲーテやホフマンの詩文について見通すことができるなかなか侮れない一冊
2020/04/01
またの名
独語のお供。キンドルで読めるもの(Rundfunkgeschichten für Kinder: Benjamins Kasperle tobt durch die Welt des Radios (Vollständige Ausgabe): 28 spannende Geschichten und Anekdoten für Kinder und Erwachsene)はカッコ書きで完全版と書かれているのに邦訳版の最後を飾る「狂った一日」を収録していないので、日本語で読む本書の読者にとってはお得。
2015/11/27
Meroe
ベンヤミンによる子ども向けラジオ放送の原稿から。ドイツやヨーロッパに横たわる、魔女裁判、強盗団、ファウスト博士、カリオストロ、とどこか怪しげで暗い、でも興味を引く話題の数々。ポンペイの埋没やリスボンの地震など壮絶な事故や災害(ベンヤミンは、その証言を引いて語っている)に割かれている回も多い。後半では、江戸弁のように訳されているベルリンなまりのひびくベルリンの街の様子が語られていて楽しい。私がとくに好きなのはおもちゃの旅。
2012/03/09
日々
7 点 ベンヤミンが少年少女むけのラジオのために用意した原稿集。ベルリンのこと、歴史のこと、災害のこと、興味ぶかいことがたくさん。息子のために買ったものの、自分が先に読んでしまった。
2017/12/17
nranjen
不思議な運命をたどった原稿。やさしい語り口だがその向けられる関心の対象、意表をつく視点、そこから見出されるいつも彼の本を読んでいてはっとさせるメッセージはやっぱりベンヤミンで、決して子供向けに手加減はしていない、どころか非常に真摯に向き合っているのだと思った。おもちゃの話など、豊かな世界を感じた。
2017/03/05
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