絶対製造工場 (平凡社ライブラリー)
絶対製造工場 (平凡社ライブラリー) / 感想・レビュー
アナーキー靴下
お気に入りの方のレビューを見て、初めて本作を知り読んだ。何これ凄い! チャペックの最高傑作じゃない? ってなるほど序盤は楽しくて仕方なかったけれど、中盤以降は何ともまとまりがないような。ただ、これはチャペックが伝えたいことを書きたい人であって、完成された物語を書きたいわけではなかった、ということなのかな、なんて思う。人間は不完全で悪癖だらけで、だから綺麗な物語になんか仕上げようがないけれど、でもそれでも常に希望を忘れないように。鋭い皮肉と風刺に埋め尽くされながらも一筋の光が差しているような作品だった。
2022/09/29
まりお
とある技術者が作った、少ない燃料で膨大なエネルギーを得られる「カルブラートル」。しかし得られるのはエネルギーだけでなく、「絶対」と呼ばれる神そのものも解放するのだ。そして絶対を浴びた人間は、まるで聖人にでもなった振る舞いをし始める。これだけで終われば平和だったのだが、この世界にはありとあらゆる宗教と神様がいる。神を得たことで戦争が起きるとは、いつの時代も変わらないものだ。そんな時代も、そんなことあったな、で終わるのも人らしいと言うか。
2017/08/20
ビイーン
膨大なエネルギーを生み出す画期的な器械「カルブラートル」から副産物として開放された「絶対=人造神」は、世界中に溢れて人類を混乱に陥れ戦争が勃発する。この独創性からスピノザの汎神論みたいなものに繋がっていくところがとても面白いと思うが、これはチャペックの代表作の中でも失敗作と言われている。本書が発刊されてから100年近くになるが、世界は変わらず自分の信ずる「絶対」に囚われ争い血を流す。人間が不寛容である限り作者が訴えた意義は失わないだろう。
2018/10/27
KI
この世界に絶対など絶対に存在しない、なんてことは絶対にない。
2019/07/10
meg
カレル・チャペックだいすき。
2024/09/17
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