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豊乳肥臀 上 (平凡社ライブラリー)

豊乳肥臀 上 (平凡社ライブラリー)

豊乳肥臀 上 (平凡社ライブラリー)

作家
莫言
吉田富夫
出版社
平凡社
発売日
2014-01-10
ISBN
9784582768039
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豊乳肥臀 上 (平凡社ライブラリー) / 感想・レビュー

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やいっち

本書の特徴は莫言の表現そのものにある。マルケス、ドノソ、フォークナー。さらに、莫言が本書を書いた時点では、相互共に影響関係はないだろうが、どこかしら、『精霊たちの家』の作家イサベル・アジェンデの作風というか雰囲気をも感じてしまった。こうした、スーパーリアリズム的叙述は現代文学の共通項のようにも感じられる。 中国の戦後の歩みを見てみると、過酷なものだったことが分かる。そんな中国の一面をでも描くには、文学的手法も既存のものでは追い付かないのだろう。作家の直面する現実の圧倒的な塊の凄みを感じる。早速、下巻へ。

2018/04/29

メルコ

中国現代史の抗日運動、内戦、共産党による軍事政権をたどりながら、とある一家の数奇な運命を辿る長編。主人公はおっばい大好きで8歳まで母乳で育った少年で、8人の姉がいる。話は母親や姉たちが時代の荒波にのみ込まれながらも、時代をわたり歩いていく姿を描いている。その描写はときにマジックリアリズムのようでもあり、島国の人間から見た大陸国の人間の特徴を描き出している。内容はずっしりと重く、登場人物も多くて、読むのに時間がかかった。

2024/03/18

イシザル

「山崎豊子」のように面白く、 詩は朝露に消えていく「長谷川等伯 松林屏風」のようだ。

2017/12/28

みあすま

抗日戦争から国民党と共産党の内戦、毛沢東の時代を経て、自由化へ……激動の中国現代史を背景に描かれる農民上官一家の物語。母魯氏がもうけた娘たちは、一度惚れ込むと止まらぬ恋愛体質で、日本の皇軍の協力者から共産党の権力者まで、さまざまな派閥の男たちと上官家を切り結ぶ。それゆえに浮き沈みの激しい上官一家の境遇は、ページを捲る手を止まらせない。もうひとつ、物語を貫く軸となるのが、主人公金童の乳房への執着だ。この変態的な乳房への執着でもってブラジャーの会社を作り、一儲けするも陥れられて没落してしまうあたりは、喜劇の様

2017/04/01

nbhd

人類のうちの、いわゆる”男子”に普遍であるかと思われた「おっぱい大好き」の精神も、戦中戦後の中国の激動とくらべると、どうも影が薄くなる。母と8人の姉とおっぱい大好き少年の物語、戦時中から現代まで、悲劇は8人姉妹に襲いかかる。戦争中は親日/抗日、戦後は共産党/国民党、共産主義/芽生えつつある資本主義と、「選んだ男」のポジションによって姉妹は分断を余儀なくされてしまう。そこらがあまりに壮絶過ぎて、宝石のようにきらきらする少年の「おっぱい大好き」の精神が曇るあたりはやや残念。それだけ中国史すげぇってことだけど…

2015/08/12

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